第14話
レインが泊まっている部屋はいわゆるロイヤルスイート見たいな部屋だった。
さすがは勇者だな。
コンコン
「レイン、俺だ。アルバートだ」
「お、アルか。どうしたんだ?」
レインは髪がボサボサで目を擦っている。
お前こんな時間まで寝てたのかよ。
「俺達、お前と一緒に迷宮攻略することになった」
「お、まじか。なら早速準備しないとな。待っててくれ」
「分かった」
レインがドアを閉めると中からドダドダドタ! と、音が聞こえてくる。
「ふぅ、準備出来たぞ!」
「なら行こうか」
「もう出発するか? 何か必要な物とか買いに行かなくていいか?」
「大丈夫だ。もう準備は済ませてある」
「なら行くか」
「目指すは迷宮! 行くぞー!」
「「「「おー!!」」」」
俺達は街を出て山へ向かった。
――迷宮山――
「とりあえず山に着いたけどデッカイなぁ」
その山はかなり険しく、頂上もほぼ見えない。
「これ、頂上まで行かなきゃいけねぇのか」
「文句言うなんて情けないですわね! こんなの余裕ですわ!」
セリィはレインがいるので凄く元気だ。
それに腕を無理矢理組んで歩いている。
レインはどこか嬉しそうだ。
う、羨ましくなんて無いんだからね!
いくら自分がモテないからって羨ましくなんて、ぐすっ……
「どうしたアル?」
「何でも……無い」
「そうか」
俺達はそんな風にどんどん山を登っていった。
夕方になり、山の中腹ぐらいまで登ってこれた。
「今日はこの辺で野宿するか」
「おっけー。薪集めてくるね、セリィ行こ」
「えぇレイン様ぁ……」
「俺はテント立てるわ。アル、手伝ってくれ」
「おう」
「お前達、手際良すぎだろ」
レインが感心している。
「まぁ結構やったからな」
「野宿なんてしたことねぇよ」
「王族だもんな。仕方ない。まぁとりあえず慣れが必要だからこっち来て手伝え」
「おう!」
俺達は野宿の準備を淡々と進める。
バシュン! ドン!
空に魔法が打ち上げられ、空が明るくなる。
「あれは、緊急事態の合図だ! ナージャとセリィが危ない!」
「行くぞ!」
「ここはどうする!?」
「フロウ任せた! 何かあったらお前も合図しろ!」
「分かった!」
「行くぞ、レイン!」
「ああ!」
俺達は魔法が上がった所に急いで向かう。
そこに着くとセリィとナージャが大きな虎と戦闘中だった。
「助けに来たぞ!」
「助かる! Aランクモンスターのギガタイガーよ!」
「ったく、稀に出るやつにでくわすなんてついてねぇな……」
「お前達は逃げろ! ここは勇者の俺が!」
「心配してくれなくても大丈夫さ。なんせ俺達はA級冒険者だからな!」
「分かった!」
レインはそう言って剣を抜く。
その剣の刀身は光を帯びている。
「それは?」
「聖剣エクスカリバーだ」
エクスカリバー! あの伝説の聖剣じゃん!
「まじかよ! すげぇな!」
「よそ見をするな! 来るぞっ!」
「ガウッ!!」
ギガタイガーは大きな爪を振りかざしてこちらに跳躍する。
「アイギスの盾!」
俺はそれをスキルで防ぐ。
「今だっ! 光剣シャインソード!」
レインの剣の光がよりいっそう強くなり、レインはギガタイガーに斬りかかる。
スパッ!
レインはギガタイガーの前足を切り落とす。
「ガァァァ!」
ギガタイガーが叫ぶと切り落とされた足が再びくっつく。
「再生すんのかよ!」
「私に任せなさい!」
「まずい、レイン逃げるぞ!」
「何で?」
「いいからっ!」
「魔力解放!!」
ドォォォォン!!
セリィの魔力解放でギガタイガーは跡形もなく消え去った。
「ふぅ、危なかった……」
「何だ今の!? ギガタイガーが消えたぞ?」
「私の魔法ですわ! 惚れてくださってもいいですのよ?」
「凄いな!」
「ふふ、当然ですわ!」
セリィはレインに褒められてご機嫌だ。
「あ、でも消し飛ばしたからフロウに怒られるな」
「ひぇぇ……」
「とりあえず無事だな? セリィは良いとしてナージャは大丈夫か?」
「大丈夫だよ。自分でヒールかけたし」
「なら良かった。じぁ戻ろうか」
俺達はフロウの所へと戻った。
「ただいまー。お腹空いたー」
「おうおかえり、飯の準備出来てるぞ」
そこにはとても美味しそうなカレーが用意してあった。
「すげぇ。フロウ、料理出来たんだ……」
「まぁな。さ、食べようぜ」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
「う、美味い!」
「ほんとに美味しい!」
「疲れも吹っ飛ぶね!」
「美味しいですわ!」
「へへっ、そうか。おかわりあるから沢山食えよ」
「オカンじゃん」
「あんた達、沢山お食べ♡」
「何だよそれ」
「「「「ハハハハハハハハ」」」」
俺達は楽しく食事を済ませ、寝た。
セリィがレインと寝るとか言いだしたのを止めるのには本当に疲れた。
――翌日――
「さ、準備して行こうか」
「あれ、レインは?」
「あ、まだ寝てるな」
「起こすか」
「おーい、レイン起きろー!」
「むにゃむにゃ……皆可愛いから自信持って……」
クソっ、何て夢見てやがる。
「さっさと起きんかい!」
「いでっ! 何すんだよ!」
「もう行くぞ。早く準備しろ。女たらし」
「女たらしって何だよ! ちげぇよ!」
「いいから準備しろ! 皆待ってるぞ!」
「へーい」
しばらくしてレインが準備を終えた。
「さ、行くか」
「目指すは迷宮!」
「「「「おー!!」」」」
俺達は頂上へと向かった。
「着いたー!」
夕方、迷宮の入口らしき所に着いた。
「どうする? 明日にする?」
「いや迷宮の中に安全地帯を利用した集落みたいな所があるからそこまで行こう」
「りょーかい!」
俺達は迷宮の中へと入っていった。
――迷宮・一階層――
「なんか前のと全然違うね……」
前の迷宮は建物感があったが、今回の迷宮は1つの森だった。
「その街は何階層だ?」
「二階層だったはず」
「ならこの階、サクッと攻略するぞ!」
俺達は森をどんどん進む。
一階層だからか少し道が整備されているようにも思える。
「出たぞ! ゴブリンの群れだ! 多いぞ!」
出てきたゴブリンは軽く30匹はいるだろう。
「多すぎやしねぇか!?」
「行くぞっ!」
俺、フロウ、レインの前衛は突進する。
「殲滅は任せなさい! はっ!」
セリィがゴブリンの群れの中心に広範囲の火魔法を放つ。
ドォォン!!
超高熱の火の塊はゴブリン達を一瞬で消し炭にする。
「あっち!」
「ぎゃぁぁ!!」
「セリィ、巻き込まれてる!」
セリィの魔法の範囲には突進した俺達も含まれていた。
「あら、申し訳ありませんわ」
「大変! 今回復魔法かけるね。ヒーリング!」
ナージャは広範囲の回復魔法をかける。
俺達3人は一気に回復する。
「ありがとう、ナージャ」
「助かったよ」
「まさか仲間の攻撃を仲間に回復してもらうとはね」
「さ、行こうか」
俺達は再び進み出した。
さっきの魔法の大きな音で魔物が逃げたのかそれ以降、魔物に襲われなかった。
――迷宮・二階層――
「さ、二階層だな。安全地帯を探そう」
「お、あそこに看板あるぞ」
それを読むとこう書いてあった。
迷宮町、この先左。秘密の言葉は『ザラクの迷宮』だ。
「左だって。行くか」
「秘密の言葉か。魔物対策だろうか」
俺達は看板から左に進んだ。すると明らか人口の門があった。
「すみませーん。中に入りたいんですけど」
「秘密の言葉を言え」
「ザラクの迷宮」
「良いだろう。ゆっくり休んでいってくれ」
すると門が開いた。
中に入るとかなり綺麗な町があった。
もっと簡易的な物かと思ってた。
「じぁ飯行って宿屋だな」
「何があるんだろうなー」
「レイン様! 一緒に行きましょう!」
「あ、ああ」
レインはセリィに連れていかれた。
「行っちゃったよ。じぁ行くか」
「そうだね」
「肉がいいな!」
俺達は各々食事を済ませ、宿屋へ向かった。
レインはよく寝坊するので起こすために今日は一緒の部屋に泊まってもらった。
明日から本格的に迷宮攻略だ。ゆっくり寝ないとな。
「ぐがぁぁぁ……すぴー」
レインうるせぇ! 寝れないよ!
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