たかし!バトルロイヤルするなら片付けなさい!!
ちびまるフォイ
バトルロイヤルで持っていくなら?
「たかし! あんたまたバトルロイヤルやったんね!
片付けもせんと、いつも誰が片付けると思ってるの!」
「うるさいなぁ……。みんな倒してから片付けようと思ってたんだよ」
「そういっていつも孤島を掃除するのはお母さんがやったじゃない。
昨日だって、結局やらないでそのまま島を出たじゃない。
あの後、お母さんが使った武器やら何やら片付けて大変だったのよよ!」
「あーもう……」
たかしはわずらわしそうにあいずちをうつ。
「たかし、バトルロイヤルは
島を片付けるまでがバトルロイヤルなんだからね!」
「そんなこと聞いたことないよ……」
たかしはめんどくさそうに答える。
「隣の島でやってるバトルロイヤルは専属の掃除人が
事後処理を全部やってくれてるんだよ。
うちだけだよ、自分たちだけで片付けてるのは」
「よそはよそ! うちはうち!」
「えええ……」
お母さんは次のバトルロイヤルに備えて
島のあちこちに武器などを置き始めていた。
掃除機もかけはじめて、爆音が島のあちこちに響き渡る。
「ちょっ……母さん! 音でバレるだろ!」
「あんたがさっさと片付けないからでしょ!」
「あとで片付けるから出ていけよ!」
「ほんとだね!?」
「ほんとだって!」
たかしはお母さんを島から追い出そうと背中をぐいぐい押していく。
「たかし、そういえば……」
「まだあるのかよ」
「聖子ちゃんが、あんたが欠席した時のバトルロイヤル届けるって
この島にやってくるそうだけど、あんた聞いてた?」
「せ、聖子ちゃん!?」
たかしの青春の中心にいる、バトルロイヤルのアイドル聖子ちゃん。
鉄条網を巻いた木製バットを振り回すファンシーさにたかしは心を打たれていた。
「どうしてもっと早く言ってくれないんだよ!
こんなバトルロイヤルしっぱなしの島に来たら幻滅しちゃうよ!」
「だから、お母さん何度も片付けなって言ったでしょ」
「先に聖子ちゃんのことを言えよ!」
「ほらお母さんも手伝うから」
「あーー! それは触んないで! せっかくしかけた対人地雷なのに!」
「散らかってるのと一緒でしょ」
「ちがうよ! とにかく! 片付けはするから出てけって!」
お母さんが島から閉め出されてから数時間後。
孤島にいる他の参加者を一層し、片付けを終えたたかしは母親を呼び戻した。
「これでいいだろ。ちゃんと片付けたよ」
「たかし、なんか不自然な土の盛り上がりがあちこちにあるんだけど?」
「ちょっ! さわるなって!」
土をめくると中には雑多に詰め込まれた使用済みの武器などがガラガラと出てきた。
「たかし、これは片付けたって言わないよ。
バトルロイヤルの島を来たときよりもキレイにしてこそ、
ちゃんと片付けたって言うんだから」
「しょうがないだろ、緊急だったんだから!」
「結局、お母さんがいっつも最後の後片付けはするんだから……ぶつぶつ」
お母さんは使用済みの兵器やら元参加者らをゴミ袋にまとめ始める。
「それで、聖子ちゃんはいつ来るんだよ」
「……え?」
「ほら、この島に来るんだろ」
「あ、ああ~~……」
「……え!? まさか嘘だったのか!?」
たかしはがくぜんとした。
「しょうがないでしょ。ああでも言わないと、
あんたバトルロイヤルしっぱなしで島を出ただろうし」
「だからって騙すことはないだろ!」
「屁理屈言わないの! お母さん忙しいんだから!」
たかしは不満たらたらの顔をしたまま何も答えなかった。
「それじゃ、お母さん主婦バトルロイヤルしてくるから
あんたちゃんと他の場所も片付けておくんだよ」
「わかったよ、うっさいなぁ……」
「お母さんが戻ってきても、バトルロイヤルしっぱなしだったら怒るからね!」
「わかったって!」
お母さんは主婦バトルロイヤルの準備をし、島を出ようとした。
その背中にたかしが声をかけた。
「あ、母さん」
「なに? お母さんに片付け任せるつもりなら、断るからね」
「そうじゃなくて。島にあるバトルロイヤルの景品を入れていた
おかし缶や紙袋も捨てていい?」
それを聞いたとたん、表情が一変した。
「たかし! あんた何言うとるんね!
そういうのはいつかバトルロイヤルで使うかもしれないでしょ!!」
たかし!バトルロイヤルするなら片付けなさい!! ちびまるフォイ @firestorage
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