番外編SS『ジジ馬鹿』(アインズ視点)
*・*・*(アインズバック視点)
ああ……ああ!!
「なんて愛らしいんだ!!」
「じぃじ〜?」
「そうだとも!!」
娘のチャロナが、俺にとっては甥で婿となったカイルキアと婚姻を迎えて二年と少し。
俺にとって……初孫の『リーシャ』が今日、セルディアス城に来ているのだ!!
結婚は先だったが、子がまだ授からなかったバカ息子の方は、最近子宝に恵まれたのでまだだ。何故、チャロナの方が先だったのかは……あいつめぇ、とカイルキアに文句のひとつも言いたかったが、孫は可愛いのでヨシとする。
我が妻と娘によく似た顔立ちに、王家の証でもある
歳を重ねるごとに、愛らしく成長している!!
こんな愛らしい孫を愛でないわけにいかない!!
少々嫌がられたが、抱きしめて顎を頬にすりすりするのは許してくれ!!
「まあまあ、アインズ様? おひとりだけずるいですわ。私にも抱かせてくださいまし?」
「ばあば!」
「ああ、そうだな?」
お互い……孫が出来たとは言え、まだ五十にも達していないが少々こそばゆい。
まだ健在でいる父上達も……七十手前だしな。神が繋げてくださった運命とは言え、なんとまあ子宝に恵まれってしまったものだ。
アクシアにリーシャを渡せば……まだまだ美しい我が妻は、孫だが赤児を抱くと親子のように見えてしまう。よく似ていて、チャロナが赤児だった頃を思い出してしまう。
「よかったねー、リーシャ?」
チャロナはチャロナで、そんな俺達を見守っていた。カイルキアの方は……お前そんな表情が出来たのか? といまだに慣れんが、デュファンそっくりの笑顔で見守っていた。
チャロナのお陰だが、まさか表情を失っていたあいつがここまで……。存在する相手が薬になると言うことは本当だったか。
俺もまあ、アクシアが蘇るまでは似た部分もあった。
「う! ははうえー」
リーシャは一番好きなのが、やはり母であるチャロナだから……アクシアに抱かれていたが、すぐにチャロナへと手を伸ばした。アクシアも美しく微笑んでから、近づくチャロナにリーシャを渡した。
「おばあちゃんにもっと抱っこしてもらわなくていいの?」
「ははうえー、がいい!」
「ふふ、ありがとう」
親子と孫が並ぶ姿は、まさに絵のようだ。是非、絵師を呼んで描かせたいがこの幸せな時間を堪能したい気持ちもある。
「……カイルキア」
「? はい」
ただひとつ、カイルキアには王として言わねばならないことがあった。
「……世継ぎはどうする?」
「…………その。『そう言うこと』はしていますが」
「……リーシャのようにはいかないか」
「……はい」
俺も、アクシアにベタ惚れであるように……こいつもチャロナにベタ惚れだ。
だが、その兆しはリーシャの時のように、うまくはいかないようだ。
「…………特に戦争もない。今のところはゆっくりでいい」
「……はい」
その会話が終わった後に、バカ息子がいきなりやってきて自分の姪の愛らしさに……俺以上に愛でたが、少し泣かしてしまった。
「悪いことはしていないんだぞ!!?」
「お兄さんは強く抱っこし過ぎ!!」
と、半分兄妹喧嘩になりかけたが……最終的には、泣き止んだリーシャがシュライゼンを悩殺したことで事なきを得た。
こんな、何気ない時間を過ごせるだなんて……アクシアとチャロナを失った時の昔からは考えられない。
最高神……本当にありがとうございます。
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