188-2.セルディアスへ帰還






 *・*・*












 シュリ城では、出来る限りのレシピを伝え……夕方前には、セルディアス城に戻ってきた。お兄さんがいきなり、お父さんの執務室に転移したから……お父さんがギョッと目を丸くしていた。



「ただいまなんだぞ!!」


「いきなりここに来るな!!?」



 お兄さんは平常運転だろうけど、お父さんが言うのも最も。


 私達は思いっきり、ため息を吐いた。



「なっはっは! 報告もすぐに出来ると思うから、俺としては問題ないんだぞ!!」


「…………はぁ、わかった」



 これを十数年もやり取りしているそうだから、私もツッコミとかはやめておくことにした。お母さんはいなかったから、後で会いに行こう。マザーと話が出来たこととかの報告がしたい。


 とりあえず、今回の使節団は私がメインだから……私がお父さんに報告することになった。


 身内だけだから、敬語も無しでいいみたい。



「レシピとかの伝達は済んだよ。やっぱり、ホムラでのこれまでの作り方ではパンと同様に……味と食感は改善出来ていなかった」


「で、お前の持つレシピで……改善出来そうか?」


「うん、あちらの陛下や殿下方が参加された……けど」


「まあ、そうだな。あちらはああ言う方々だ」


「そうなんだ……」



 過去の襲撃事件などもあったから、市民に近い生活もされていたと聞いていたが。



「とりあえず、あれだ。マンジュウと言うのはどんな感じになったんだ?」


「あ、ちょっと待って」



 お父さんには、比較して欲しいと陛下からあちらの料理長が作ったのと、私と一緒に作ったのをひとつずつ渡し……お父さんはそれぞれひと口ずつ食べてくれた。



「……随分と違うな?」


「ある意味、これもパンだから」


「そうか……。正しい技術が伝われば、国もだが世界も変わる。これからも頼むぞ、チャロナ?」


「はい!」



 とりあえず、お父さんへの報告はこれまでにして。私達はお母さんの部屋に行くことになった。


 お母さんはまだ復活したばかりだけど……ちょっとずつ王妃様としての公務をしていかなければいけなくて、少しずつ勉強しているみたい。


 部屋へ行けば、ちょうどカイザークさんと勉強が終わるところだった。



「おや、姫様方」


「あら? もう終わったの、チャロナ?」


「ただいま戻りましたー」



 挨拶してから、お母さん達にも肉まんを渡して違いを確かめてもらった。当然、料理長さん達が作ったものを食べると顔を渋らせた。



「こんなにも……」


「いやはや、姫様のお力でこのように違うのですね?」


「……全部私の力ではないですが」


「それでも、姫様がお持ちの技術ですから」



 次は、マシュラン達に会いに行くためにも……孤児院への差し入れやお菓子教室の内容を考えなくては。


 子供達は、私が王女だと知っただろうけど……どう接してくれるのかな? あちらのマザーがきちんと説明されているだろうけど。

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