183-3.ちぎりパン(マックス《悠花》視点)
*・*・*(マックス《
んま!?
パンの香ばしい匂いが席にまで届いてくるわん!!
窯と言うよりかは、フライパンかしらん?? フライパンでパンが作れるのは、あたしも前世の知識では知っていたから納得が出来た。
他にも、ミュファンとエイマーが作ってくれた料理も加わって、テーブルの上がいっぱいになった。
「おお!?」
そして、エイマー力作のパンは『ちぎりパン』だったわん!!
丸が集合体になって、すぐにちぎれる感じ……表面の焦げ目もいい感じ!!
すぐにでも食べたいわ!!
「おっし、食うぞ!!」
あたしが号令をかけたら、ミュファン達と一緒に食べることになった。まずは、全員ちぎりパンから手を伸ばす。
丸を手に取れば、接合部分が簡単にちぎれた。ふわっと、ちぎれた部分から小麦の香りが立ち上り……あたし達の鼻に来ると気分を落ち着かせてくれた。
まずは、何もつけずにそのままひと口。
「「「「「「んん!?」」」」」」
全員で声を上げるくらいの柔らかさ。
むせることなく、モチャモチャもせずに……ただただ美味しい。
チーちゃんにあれだけ教わったお陰か、以前とは違って段違いに美味しい!! この間試食した時よりも!!?
「エイマー!? 格段に腕上がっているぞ!?」
「そ、そうかな?? 良かった……」
心配する必要はないわよん!!
まだ苦手部分はあるかもしれないけど……今まで、チーちゃん頼りだったことに比べれば確実にレベルアップしてるわ!!
「うんめ!?」
「美味いわ〜!!」
「……美味い」
「美味しいですよ、エイマーさん。王女殿下の教えを受けたとなれば、納得の味です」
ほんと、チーちゃん様様ねん?
指導力もあるんだから、前世の
あんまりそこのとこはあたしも覚えていないんだけど。
まあ、チーちゃんと前世でもマブダチだった記憶が戻ったのはまだ最近だから、無理ないわ〜。
「バターとジャムたっぷり塗ったら……」
もうこれ以上にないってくらい、し・あ・わ・せ!!
ちゃんと美味しいパンが食べれて、ちゃんと美味しいと思えて。
これが以前だったら全然思えなかったのよねん?
(【枯渇の悪食】のせいで……潰えたって言っても)
他の料理はまだマシで、なんでパンとかまんじゅうはダメなままだったのかしら??
フィルドはまた来るって言ってたから……その時にでも聞けるでしょうねん??
とりあえず、出来るようになった人間が増えてって世界中に広めるのがチーちゃんとあたしの役目。
あとちょっとで、ホムラには行く予定でいるから。……頑張んなくちゃだわ!!
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