183-1.リュシアでは(マックス《悠花》視点)








 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)










 リュシアの街に来たのはいいんだけど……。


 デートどころじゃなくなったのよねん!!?



「「「「「王女殿下万歳!!」」」」」


「「「「「王妃殿下復活万歳!!!!」」」」」



 とまあ、チーちゃんと王妃様の話題で持ちきり以上に……酒盛りだらけなのよん?


 どこもかしこも!!


 せっかくのんびりゆっくりと、エイマーと過ごしたいと思ってきたのに……これじゃ、カイル達みたく遠出した方がマシだったわ〜……。ちゃんと、カイルの話聞くべきだった。



(まさか、ここまで……いや、逆に当然かも)



 十六年も行方知れずだった、王女であるチーちゃんの帰還に加えて……今まで激不味だったパンのレシピを伝授する予定。


 そこに、ソーウェンとの戦争で死んだはずの王妃様の復活。


 リュシアもだけど、国中が騒がないわけがない。


 そのオマケに。



「……あれは、凄かったな」


「美化し過ぎかもしんねーが、チーちゃんの言葉はなあ?」



 逃げるように、演劇関連の小屋に入ったら……チーちゃんとあたし達がこの街で糞子爵だったあの男を捕縛するシーンを見ることになったわ……。


 あたしもだけど、チーちゃんのとこも完全に美化されまくっている。チーちゃんが見たら、絶対逃げ出すはずよ。あの子前世での映画とかでラブシーンあったら、映画館でも席を立つくらいの羞恥心の塊だから。


 けど、あたしも観劇小屋から出ることにして……とりあえず、ミュファン達のいるあたしの店に移動した。



「ふふ。王女殿下の話題は、特にリュシアでは凄い話題ですから」



 もう慣れて……じゃなかったわん? ミュファンも多少気疲れしてる感じだった。


 カーミアやフェリクスも……シュィリンも苦笑いするくらいだもの?



「ここに来るのも随分と久しぶりだ……」



 で、愛しのエイマーは久しぶりの店に辺りをきょろきょろと見渡していたわん?



「ほんまや。姉さん久しぶりやなあ?」


「だな!」


「? カーミア? と」


「フェリクスだっての!!」


「……相変わらず似合っていないな」


「酷!?」



 エイマーは言えることはズバッと言うわよ?


 たしかに、フェリクスの女装はネタ系だものね??



「……久しいな」


「君は……シュィリン??」


「ああ」


「……君は、ミュファンに劣らず美しいな?」


「…………そうか?」


「なんで俺はダメなんだよぉおおおおお!?」


「うっさいわ、フェリクス!?」



 こう言う夫婦漫才的な雰囲気、妙にほっと出来るわ〜。せっかくのデートなのに、仕方がないからまだまだパン作りが出来ないミュファン達の……パン以外の料理を作ってもらうことにしたら。



「多少作れるようになったんだ。私がパンを振る舞おう!」


「「姉さん!?」」


「こう見えて、私はチャロナくんに指導してもらってるんだ」


「「ほーん!!」」


「せっかくですし、ゆっくりなされても」


「いや……料理人として少し、な?」



 いいだろうか? とあたしに向かって言うのに……あたしが許可を出さないわけがなかったわん?

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