182-3.アップルデニッシュの虜(サイラ視点)
*・*・*(サイラ視点)
結局、『チャロナ』のままでいいことになった王女様は……屋敷に戻ってきた。
エピアから聞いたけど、無事に旦那様とお付き合いされることになり……婚約パーティーも近々開かれるらしい。
けど、いつも通りに戻ったからって、相変わらず厨房にいるのは今となっては不思議だけど……。チャロナは笑顔だし、生き生きしているしいいかな?
それに今は!
焼き立てのおやつが食える!!?
「はい、お待たせ!」
チャロナが出してくれたおやつは、ひとり二個のクロワッサンのようなもの。けど、出す前に説明してくれたように真ん中にはリンゴを煮たのがあった。俺はほとんど料理しないけど、芯にして包んだ感じ?
焼き立てほかほかとくれば、冷めた時とは絶対違うはず!!
シャミー達と一緒に受け取ってから、テーブルについて食べることにした。
「あったか〜!」
「ちょっと冷えてきたからいいかも!」
「いっただきまーす!!」
んで、三人同時にアップルデニッシュにかぶりつく。
サク、サク!
相変わらずのサクサク感。
ちょっとぼろぼろ破片が落ちるけど、気にならないくらい塩っぱくて甘くて!! リンゴの部分はじゅわって……リンゴが触れていた部分はなんかクリームパンの時のようなカスタード? みたいな味になってる!?
「うま!? これカスタード入っとるん?!」
って、シャミーも言うくらいだけど、多分入っていないと思うなあ?
「美味しい!! チャロナのパン美味しいよ!!」
ピデットが厨房に向かって言うと、少し離れたところからチャロナが『ありがとう』と声を上げた。彼女は俺達の後からやってきた先輩達に配膳してたからだ。
「もうおかわり……」
以前のチョコクロワッサンでマックスさんがダメって言われてたから……多分ダメだろうなあ?
けど、まだ足りない食べ盛りの俺達。
三人で頷き合い、ゆっくりとカウンターの方に忍び寄る。ちょうど、配膳が落ち着いたとこでチャロナは何か片付けをしているところだった。
「「「チャロナ/ちゃん〜〜!!」」」
「んー?」
俺達が呼べば、チャロナは不思議そうに振り返ってきた。横にいたおっきくなったロティも。
「「「おかわり欲しい〜〜!!」」」
「え? もう? 胃もたれしない??」
「全然!」
「もっと食いたい!!」
「ラム酒の香りもええ塩梅や!!」
ラム酒と言えば、うちのエスメラルダさんだろうけど……今日のおやつのために譲ったんだろうなあ? あの人ならやりかねない。
「けど、あとはリンゴの甘煮しか残ってないよ?」
クロワッサン部分はもうおかわり分はないらしく、俺達のテンションは一気に爆下がりしてしまった……!!
けど、それはもらえたのでフォークも受け取ってからもくもくと食べた。甘煮でも十分美味しいし、酒は感じるけど……やっぱりクロワッサンとかパンと一緒に食べたら美味しい気がした。
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