175-3.終わりの夏野菜ベーグル②






 *・*・*










 ベーグルはなんとか形になったので、ベンチタイムを置いてから……いよいよ茹での工程。


 大鍋にグラグラいかないくらいに、少し蜂蜜を入れたお湯が出来上がったら、ベーグルを一個茹でてみることに。



「沸騰させ過ぎたお湯だとシワの原因にもなるので……片面を30秒ずつ。タイマーも使って軽く湯がいていきます」



 網杓子も使いつつ、ベーグルをさっと湯がいたら……すぐにオーブンになっていたロティの天板に載せて、オーブンにイン!!


 そして、



「重ねがけ、短縮化ショートニング!!」


『最大短縮ぅううううう!!』



 時間短縮クイックの応用も相変わらず使えるので、瞬間的に焼くことも可能だった。


 オーブンから取り出したベーグルは、ドリュールなどは塗っていなくても香ばしい表面と焼き色がついていた。



「『「おおお!!?」』」


「このままでも美味しいですけど、せっかくなのでクリームチーズを塗りましょう」



 これも以前のように技能スキルでささっと作った出来立てを……粗熱が取れたベーグルを横半分に割って、内側にたっぷり塗ってサンド。それをさらに包丁で試食用にカットしていく。



「『「「いただきます」」』」


『いただきまふぅ!』



 ひと口サイズなので、全員すぐに口に入れることが出来た。


 まず、クリームチーズの香りが口いっぱい広がるけど……すぐに噛めば、ほんのり甘いベーグルの生地がもちもちしているのが感じ取れた。時折出てくる、トウモロコシの粒の食感もあって、まだみずみずしい。噛めば噛むほど、表面の香ばしさに加えてもちもち感が楽しく思えてきた。


 他の皆さんを見ても、モキュモキュと食感を楽しんでいたわ。


 味は文句なしに美味しい!!







【PTを付与します。



『夏野菜ベーグル(トウモロコシとペポロン)』



 ・製造50人前=80000PT

 ・食事ひと口=300PT



 →合計80300PT




 レシピ集にデータ化されました!



 レベルアップ出来ました!



 50→51に



 次のレベルまであと6003008000PT




 ナビゲーターシステムのPT加算により、レベルアップします!



 ナビゲーターシステムノレベルは16です




 豊穣の加護によりコロンを30000000付与させていただきます!!



 】






 レベルアップはしたけれど、私もロティも意識が飛ぶことはなく……代わりに、一瞬だけ以前見た過去のセルディアスの国王夫婦が笑顔でいるのが見えた。



(……もう二度と、枯渇の悪食だなんてさせない)



 それが私の今のご先祖様達が引き起こしたとは言え、私が食い止めることが出来た。けど、失ったものは二度と戻らない。


 その再生のために、私は正しい調理法を各地に伝えたい。



(ひとりじゃない。皆に……カイルキア様もいらっしゃるから)



 婚約者、の自覚はまだあんまりないけど。ないって本人に言ったら、またキスの嵐をお見舞いされそうだ!!

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