168-4.捜索隊だった……が(マックス《悠花》視点)






 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)










 城に久々に泊まってから、朝食後に陛下の執務室に……カイル、あたし、レクターにフィー。本当はカレリアも呼ぶ予定だったらしいけど、身重なので与えられた部屋にリーンと待機させているわ。


 そろそろ、悪阻が酷くなるだろうしお腹の子供に必要以上に興奮材料にさせちゃいけないし?


 あたしがなんでそれを知ってるかって、前世の姉貴のこともあったからよ? 甥っ子を身ごもった時はとっても大変だったわ〜。


 とりあえず今は、先にいたチーちゃんがレイに連れられたロティちゃんと熱烈なハグを披露してくれたわ。顔も髪色も似てるから、ぱっと見だと姉妹に見えるわねえ? ロティちゃんがいきなりでっかくなったから余計に。



「……ちょっと、レイ」



 昨日のチーちゃんの誕生日パーティーで、めでたく結ばれたうちのレイは……チーちゃん達のやり取りをニマニマしながら見ているわ。気持ち悪いったらありゃしない!!



『ん? なんでやんすか、マスター?』


「なんでじゃないわよ! 昨夜はロティちゃんと同じ部屋にあてがわれたけど……なんかしたのん??」


『な、ななな!!? なーんもしてないでやんすよ!?』


「嘘おっしゃい」


『……………………キスだけ』


「だけぇ?」


『いきなりしないでやんす!!?』



 必死こいているから、そこは本当のようね?


 あたしも愛しのエイマーとはまだだけど……想い通じたら即日とか言われてるこの世界の普通にしては、あたし達はイレギュラーだーけーどー?


 カイルとチーちゃんの場合はどうなるか楽しみね?



「さて、皆に集まってもらったのは他でもない。半年前に受けた捜索隊の報告のやり直しをするためだ」



 陛下がチーちゃんの頭をぽんぽんしてからそう言ったわん。チーちゃんにロティちゃん以外、あたしやカイル達はすぐさま絨毯の上に跪いた。



「王女捜索隊、無事に我が娘を探し当てた事……大義であった」



 半年前まで、あたしやカイル達は数年以上に渡ってチーちゃんを様々な国を巡って捜索していたのだ。カイザークの爺様がさっさと言えばそんな必要もなかっただろうけど。


 ユリアにフィルド達、最高神によってそれは阻止されていて……チーちゃんがある程度成長して、あたしと前世でもマブダチだった『あまね千里ちさと』の記憶を受け止めれる器が整ったここ最近があったからこそ。


 チーちゃんを探していた年月の辛さなど、どうでもよくなっていたわ。


 むしろ、その月日がなかったら……あたし達はこの世界でもマブダチにもなれなかった。


 カイルとかはどう思っているかはわかんないけど、答えた言葉は全員同じだったわ。



「「「「はっ」」」」



 とりあえず、こう返事するだけよね?



「並びにチャロナの居住地は引き続き……ローザリオン公爵の現在居住地にさせることになった。ホムラへの派遣も近い……日々この子のやりたいようにやらせてやってくれ。リュシアでの差し入れなども再開させることになった」


「……承知致しました」



 ってことは。



(チーちゃんは、カイルんとこの屋敷に戻ってくるのねん!?)



 これまでの生活に、戻るってこと。


 たしかに、使命とか色々あるけど……また楽しいハッピーライフが送れるのに、あたしは叫んだ後にチーちゃんとロティちゃんにハグしに行ったわ!!


 すぐに、カイルにひっぺがされたけーど!!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る