166-2.王女の部屋
*・*・*
精霊同士の恋が結ばれたことで、パーティーは終わりを迎えたんですが。
私はお母さんやお父さん達と一緒に、王女としての部屋に行こうと案内してもらう事になった。先導はお兄さんで、メンバーも私達家族だけ。
ロティはレイ君と一緒にいたいだろうから、
「さあ、チャロナ!! ここが君の部屋なんだぞ!!」
案内された部屋は……お父さんの執務室の扉と同じくらいに大きい。
王女だとはわかっても、この世界で生まれてからずっと……孤児として過ごしていたんだから実感が湧かない方が大きいもの。
ぽかーんって口を開けてしまってたら、お兄さんもだけどお母さん達にも苦笑いされちゃった。
そして、お兄さんが思いっきり扉を開け放つ。
重いだろうに、このお城でずっと生活しているから慣れているのだろう。
「わぁ……!!」
月並みな言葉だが、それしか出てこなかった。
王女に相応しく、とても広々としていて……豪華な色合いだけどいやらしく感じない。奥につづく扉は見えたけど、書き物をするテーブルと椅子の前に、さっきのパーティーなどでいただいたプレゼントが綺麗に積んであった。
「チャロナ? お城での部屋はここだけど、あなたはあなたのしたい事や務めを忘れてはダメよ? まだカイルキアの屋敷での部屋があるでしょう?」
お母さんは、私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。私の思っていたことを読み取ってくれたみたい。今日初めて王女って真実を知ったばかりだから……こんな素敵な部屋を用意されても、気後れしてしまう気持ちの方が大きい。
本当の家族の事も、お母さんが生き返ったことも。
まだ確認は取れていないが、カイルキア様と両想いかもしれないと言うことも。
全部が全部、夢だったと思ってしまう。
だけど、今ここでお母さんに頭を撫でてもらってる手の温かさは夢なんかじゃない。
「……うん」
夢で終わらせたくない、すべきことはたくさんある。
だから、私は頷いた。
「〜〜〜〜…………!! チャロナ!! お前の家はここでもあるんだからな!? カイルキアに何かされたらすぐに戻ってきていいんだぞ!?」
「お父さん??」
泣く要素ってあったかなあ?
お父さん、今日泣いてばかりだけど体の水分抜け切っちゃいそうに思うけど。
「なーっはっは!! 父上は娘を甥に取られるのが嫌だと思ってるだけなんだぞ!!」
「だって!? 明日には行くかもしれないのだぞ!?」
「それはチャロナの意志だから仕方ないんだぞ!!」
「そうですけど……?」
たしかに、お母さんともっと居たい気持ちはあるが。私は早いうちにあのお屋敷に戻りたかった。
今まで皆さんに、気を遣って王女でないように接してくれた事諸々。
そして、私は王女でも今まで通りにいたいことも。
ホムラに行く前に、シェトラスさん達ともっともっとパンをたくさん作るんだから!!
「ふふ。即答ね? とりあえず、シュライゼンの希望であるパジャマパーティーをするのに……それぞれお風呂に入りましょう?」
「おー!」
「……寝床の用意はさせておく」
と言うわけで、私はこの部屋に設置されているらしいお風呂場でお母さんと一緒にお風呂に入ることになりました。
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