164-1.事情説明






 *・*・*










 私が王女だとわかり。


 お母さんである王妃様が蘇った。


 この真実と事実が両方わかったことで、お父さんである国王様やお兄さんだとわかったシュライゼン王太子様も涙だーだーで事態の収拾がつかなくなりそうだったけど。なんとか泣き止んでからは、お父さん達は玉座に戻った。


 お母さんの席は、今玉座にはない。ついさっき生き返ったばかりだし、今までなかったそうだから。それと事情説明のために、私と同じように玉座近くの絨毯の上に立つことになった。



「……王妃。何故、そなたは蘇る事が出来た?」



 ついさっきまでは、感極まって素の状態になってたお父さんだけど、今は国王様らしい対応でお母さんに質問したのだった。


 お母さんは軽くでも、綺麗なお辞儀をしてからお父さんに向けて顔を上げた。



「はい。王女……チャロナの選んだ選択のお陰で、蘇る事が出来ました」


「……そちらの最高神方。我らがその選択を伺っても?」



 お父さんがフィルドさん達の方を見た。お二人はちょうど私達の後ろにいたが、お父さんに呼ばれたので少し前に出てきた。


 と言っても、私達のすぐ前にだけど。



「構わないよ?」


「私達の望んだ選択を、そちらの姫は選んでくれた。であれば、異能ギフトで与えたPTで王妃の復活などは可能だったの」


「……その選択とは?」


「「……我らの選択肢を選ばない」」


「選択肢?」


「現状維持、異能を使って解決……そのどちらも選ばない選択」


「それで、チャロナは三つ目を事実選んだ……?」


「そうよ。この世界に蝕んでいた【枯渇の悪食】による悪影響は思ってた以上に深刻だった。……始まりがこの国であったから、尚更」


「「「え!?」」」



 だから、ユリアさん達は王女である私に選択させた?


 でも、魂は悠花ゆうかさんと同じ現代日本だった。何かしらで死んだとは言え、随分と凄い選択肢をしてしまったみたい。


 とりあえず、解決はしたらしいけど。



「安心なさい? セルディアス国王。チャロナの判断ですべて安寧の状態となったわ。食文化についてはどうしようもないけど……土地の問題については解決したのよ」


「……であれば、我らが心配するのはその食文化についてのみ?」


「そうだね? チャロナもいるし、そっちのマックスも多少は可能だ。宮廷料理人の長にも直々に教えているんなら、友好国を中心に広めていけるだろ?」


「…………そうですな」



 たしかに、ホムラを含めてセルディアスには多くの友好国があるらしい。なら、私や悠花さんを中心に協力者を増やせば……時間はかかっても食文化も落ち着くかもしれないわ。


 それには、私も協力を惜しまない!



「それと、この場にいる大半の者達にはそれを知ってもらう必要があるわ。チャロナ? 無限∞収納棚にあるでしょ?」


「は、はい!」



 本当はこのタイミングで出す予定ではなかったけど。


 ユリアさんに言われたので、私はこの場でサンドイッチの入れた籠を全部収納棚から出した。



「無限∞収納棚、オープン!!」



 シェトラスさんとエイマーさんに、レイ君達と一緒に作った卵サンドイッチ。


 絶対気に入ってもらえると思う!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る