156-4.彼らは今頃






 *・*・*










 ……あのパーティーは、今どうしているんだろう。


 式典が近づくにつれ、どうしても考えてしまう。



「……まだ数ヶ月しか離れていないのに、随分経った気がするもの」



 三年近く前に、マシュランに冒険者ギルドで誘われて。そのマシュランに脱退を言い渡された。


 あの時は、辛くて悲しい気持ちを押し殺していたけど。全部が全部、悪いことばっかりじゃなかった。


 頼ることは頼られていたし、出来ることは任された。


 だから、今は少し心配だった。


 私がいなくなった後の家事や雑務全般を、あの皆が出来るようになったのかを。



「シミットは、結構大雑把だし。ミッシュも……味付けとか雑だったなあ?」



 その分、味見役はしっかりしていたと、少し苦笑いになってしまう。


 今は、夜。


 寝る前に、ぼんやりとあのパーティーの人達のことを思い出したのだ。元気にやっているかなって。



「もう関係ないけど……二年だけでも一緒にいた仲間だもの」



 脱退させられた直後はパニックになっていたけど、今は落ち着いている。


 今なら、あの時の自分がいかに冒険者としては役立たずだったのかを痛感出来たからだ。



「……今なら、役に立てるけれど。……今の私は、このお屋敷の使用人だもの」



 しかも、あり得ないと思われるだろうが。お貴族様とそう変わらない地位にもいるだなんて。


 あのメンバーが知ったらどう思うか。


 マシュランとかシミットは口があんぐりしちゃいそうだろうけれど。



「……メルクキス、ラト、ジェラ」



 他の三人も元気だろうか。


 メルクキスは怖い顔してたけど、優しいのは知ってた。野営の時は、真っ先にかまどを作ってくれるくらいだったし。私のご飯もよく食べてくれた。


 それは他の皆もだったけど……。



「マシュラン、まだ全部許せてないけど。私は今が一番だよ?」



 カイルキア様に拾われて、そのカイルキア様や他の皆さんのために。ロティと一緒に美味しい美味しいパン作りを出来ている。


 もし、旅先で前世の記憶が蘇ったとしたら、私は間違いなく異物扱いされただろうし。


 だから、今が一番だった。



「あと四日。頑張んなくちゃ!」



 そう意気込んでから、白湯を飲んで。既に寝ているロティの隣で寝ることにした。


 目を閉じれば、すぐに眠りは訪れた。

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