152-5.最後のお菓子教室③






 *・*・*











 いやあ、まあ。そうだよね?


 チョコが熱で匂いが漂うのは、正直言って我慢の限界だよね?


 けど、火傷もだけど、焼いた直後に食べるとブラウニーが崩れちゃうから、ここは我慢してもらおう。


 片付けの前半が終わってからは、皆でホイップクリーム作りだ。前のパンケーキ作りの時に作ったからか、あれ以降でもちゃんと作っているのか。思ったよりも早く作れたのだ。



「「「冷却コールド!!」」」



 焼き上がったら、私とシュライゼン様とカーミアさんで弱めの冷却魔法をかけて。


 少しだけしっとりしたら、切り分けの方法を教えて。


 盛り付けも丁寧に。白いお皿に黒茶のケーキにホイップ。仕上げにミントを添えて。


 立派なデザートの出来上がりだ。



『『『わあああああああ!?』』』



 出来上がりに、皆も喜んでくれたようだ。


 もう一度手を洗ってから、マザー・ライアの号令でいただきますをして。


 そこかしこから、『美味しい!』の声が上がった。



「美味しい!」


「チョコだ!」


「蒸しパンより凄い!!」


「美味しい……!」


「お姉さん美味しいよ!!」



 美味しく出来て、食べてもらえてよかったわ。皆口の周りにブラウニーの欠片をつけまくりだけど。


 今日くらい、いいだろう。


 私もひと口、と子供達にあまりのケーキを差し出されたので。


 レベルアップには、全然遠いからひと口食べることにした。









【PTを付与します。



『濃厚チョコレートブラウニー』



 ・食事ひと口=500PT



 →合計500PT







 次のレベルまであと511235400PT




 】







 昨日試作もしたし、レシピ集には既にデータ化されている。


 作ったのも子供達だから、私はアドバイスしただけ。


 けど、ひと口でこのPTは凄いかも。


 舌触りはしっとり滑らかで、チョコは濃厚。バターはないのにチョコの油分で全体的にしっとりしているから。


 少し甘いホイップが、いい感じだ。



「うん。合格点をあげます!」


『『『わーい!!』』』



 ここから、いろんな料理を作ってくれるようになればいい。


 本当の先生じゃないのに、まるで生徒が卒業していくような気分だけど。


 式典が終わったら、また教えに来たい。難しいけれど、私としては叶えたかった。


 こんな素敵な子供達の笑顔を見ると、本当にそう思えるから。



『『『お姉さん、ばいばい!!』』』


「またね!」



 片付けも全部終わってから、孤児院を去る前に。


 子供達と職員の皆さんに見送られた。


 皆、腕がちぎれんばかりに手を振ってくれて。私も皆が見えなくなるまで手を振った。


 とりあえず、最後のお菓子教室と差し入れが終わったのだった。


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