138-2.食パンでポットパン


 なんだったんだ、あれは?


 なんだったんだ、あれは!?


 カイル様って、あんなお茶目な一面あった?



(ないないない!? ないないない!!)



 いつもなら、ちょっとコワモテだけど。美形過ぎるイケメンで、私の作るパンとか料理に……少しだけでも口元を緩めてくださる。


 そんなクールビューティーなお方が、あんなお茶目なことする!? 想像してなかったんですけど!!?



『にゅー、ご主人様ぁ?』


「ロティ……」


『あい』


「……今の、カイル様?」


『にゅ、かいりゅのおにーしゃんでふ?』


「え、え、え?」


「んふふ〜、脈有りかもしれないんだぞ!!」


「しゅ、シュライゼン様!?」



 背後からいきなりハグしてきたシュライゼン様にも当然驚いたが。ロティのフライヤーはまだ稼働中だったので、すぐに注意させていただきました。



「ん〜ふ〜ふ〜? あれは期待してもいいと思うんだぞ?」



 注意が終わってから、自信満々にシュライゼン様はおっしゃるけれども!!



「な、ないですよ!? カイル様があんなお茶目……あ、悠花ゆうかさんがもしかして。例えば変身の魔法とかで!?」


「呼んだ〜〜?」



 カウンターの前に来た悠花さんに、私はダッシュで詰め寄った!!



「悠花さん!?」


「な、なによ?」


「さっき、変身魔法とか使った!?」


「は? レイと融合は出来ても。単身で変装とか変身なんて無理よ? なに、どったの??」


「じゃ、じゃあ……!?」



 あれは。


 あれは、本当にカイルキア様が!?


 誰か嘘だと言って!?



「なになになに?? 何よ? なんかあったのー?」


「じ、実は……」



 まだ食堂のいつものお席でのんびりとラスクを召し上がっている、カイルキア様が私に仕掛けてきたことを伝えたら。



「ほほ〜う? あーいつがねー?」


「また風邪とか引かれたのかな……?」


「なんでよ!? あいつがそんなお茶目なことするだなんておかし……けど、否定も出来ないわねえ?」



 と、悠花さんがカイルキア様の方に向かったら。しばらくして言い合い。戻ってきても、肩を落とすだけだった。



「別に、だけで済まされたわ。たーぶん、チーちゃんにしか言わないつもりね?」


「わ、私??」


「そうかもしれないんだぞ!! とりあえず、チャロナ。ポットパンの続き教えてほしいんだぞ!!」


「あ、はい!」


「ま! 今日はポットパン!?」


「うん。悠花さんもどーう?」


「ん〜? あたしはもうちょいカイルに張り付いてみるわん!」



 じゃねー、とダメ元でもカイルキア様のところに行ってしまった。


 根性あるなあ、と思わずにいられない。


 とりあえず、ラスクが揚げ終わって。小休憩も兼ねて皆さんに召し上がってもらいながら説明をすることにした。



「このままシチューを入れても美味しいですが。さらに焼き込みます!」


「お姉様! それが先程削ったチーズと関係がありますの?」


「そうです。チーズで底に壁を作って、シチューを入れてからまたチーズを載せます! そして、チーズが焦げるまで焼くんです」


「それはそれは……チーズ好きには堪らん逸品じゃわい」


「まずは、全部のパンにチーズを敷き詰めましょう!!」



 シチューは焼く前に入れる寸法で。天板に等間隔に並べたパンに?チーズを敷き詰めて。最後にシチューを八分目まで入れてチーズで蓋をする。


 焼けたら、出来上がりだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る