119-1.パンでラザニア






 *・*・*









 けど、まずはラザニアがどう言う感じの料理かを説明するのに。エスメラルダさんには一度似た料理を食べていただきたい。


 なので、パスタの部分をパンで代用してみることにしたのです!



「今日のお昼に使ったミートソースに。ベシャメルソース……ホワイトソースを作ります」



 ミートソースはたまたまだったけど、ホワイトソースは一から手作りしなくてはいけない。小麦粉、バターを使って、粉がダマにならないように丁寧に作って。玉ねぎもじっくり炒めたのを加えたら、ホワイトソースは完成。好みによっては、マッシュルームを入れたりはするけれど、エイマーさんと悠花ゆうかさんが苦手なのでパス。



「食パンは、麺棒で伸ばしちゃいます!」


「「『え!?』」」


「パスタに見たてるためと、ソースの染み具合をよくするためです!」


『でふぅ!』


「「『なるほど……』」」



 せっかくなので、今日の夜ご飯のメインにすることになり。在庫の食パンを使って、全員で麺棒で押しつぶしていく。


 耳の部分は使わないので、そっちはラスクにでもしよう。絶対カイルキア様の好みに合うだろうから、適量にしなくちゃとは思うけど。私、絶対大盛りにしそう。


 だって、好きな人が美味しそうに食べてくれるからだもん!



「では、耐熱……焼いても割れないお皿に敷き詰めていきます」



 パイ料理は普通にあるので、耐熱容器は陶器だけどちゃんとあるんだよね?



「まずは、食パン。次にミートソースをたっぷり塗って。その上に出来るだけ混ざらないようにホワイトソースを塗ります。その次に、食パン……と合計六個の層を作るんです。仕上げにシュレッドチーズをたっぷり載せます!」


「豪華だね?」


「ですね?」


『あとは焼くだけでやんすか?』


「うん。具材のほとんどに火が通っているし、チーズに焼き色が付くくらいかな?」


「ソースの手間を除けば、簡単だね?」



 と言うことで、試食用の一皿をロティの天火機オーブンでしっかりと焼いて。仕上げにパセリを振ったら完成だ。



「これがラザニアと言う料理です!」


「「『おおおおお!!』」」


『でっふ、でっふぅ!』


「焼き立てのうちに試食しましょう?」



 と言うことで、全員でいただきますをして。








【PTを付与します。



『代用、パンでラザニア』



 ・製造1人前=10000PT

 ・食事ひと口=1000PT



 →合計11000PT獲得



 レシピ集にデータ化されました!






 次のレベルまであと312580PT



 】







 本物のパスタじゃないのに、この高PT。


 実際のパスタで作ったら、きっともっとすごいPTになるだろう。カレーやピザに匹敵するかもしれない!



「シェトラスさん、エイマーさん」


「「ん??」」


「今、天の声から。このラザニアのPTが付与されたんですが。一口でカレー並みに付与されたんです」


「と言うことは。もし、エスメラルダがそのパスタを作り出して。本物のラザニアを作ったら」


「またレベルアップするくらいなのかも、と?」


「はい」



 神様の基準は相変わらずバラバラだけど、好みはだいたいわかってきた。


 ジャンクで美味しいものに、目がないのだろう。


 このラザニアでも、ミートソースとホワイトソースの相性も良過ぎる。なら、パンでも高カロリーでジャンキーな味付けが有利。


 けれど、別段レベルアップを急がないので。のんびり作って行こう。


 パンの技術を広める方が優先的だもの。エリザベート様も練習なされるようだから。



「ふむ。では、チャロナちゃんとロティちゃんの夕飯を食べるタイミングはいつも通りにして。エスメラルダには最初に食べてもらえるように伝えて来てもらっていいかな?」


「わかりました」



 そして、厩舎に行ってエスメラルダさんに伝言しようとしたら。


 もう、試作をしているのだとサイラ君が教えてくれた。



「チャロナの提案するもんは、なんだって美味いからな? チャロナ、冒険してた時に覚えたのか?」


「ま、まあ……」



 エピアちゃんには少しだけ話したが、サイラ君には私の秘密をほとんど話していない。


 いつか、友達に言えたらいいけど。壮大な話過ぎて、きっとサイラ君には頭がパンクしちゃうなと思うのだった。

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