115-3.第二回パン教室③
成形の基本は、伸ばしすぎない。打ち粉をつけ過ぎない、引っ張らないが大事。
それらをやり過ぎると、打ち粉をつけ過ぎたら粉が成形の時に内側にそのまま入ってしまい、焼き上がっても粉っぽさが残ってしまう。
あまり引っ張り過ぎると、生地に圧力がかかり過ぎて、焼き上がりが小さくなってしまったり。引っ張り過ぎもだいたい同じ。
とにかく、生地を冷やした場合でも常温の場合でも注意しなくてはいけないことを皆さんに告げると、シュライゼン様はまたがっくしと肩を落とした。
「う、ううう……前回君にも言われていたはずなのに。俺は結構引っ張ってしまってたんだぞ……」
「ま、まだまだ時間はありますし。少しずつ頑張りましょう?」
「!……そうだね」
何故か、間が空いたような気がするけれど。生地を出してしまったので、まずは丸パンの成形。一度目の丸め方より、気持ち少し強めにお団子状に丸めたら。等間隔に鉄板に並べていく。
これを、鉄板いっぱいになったらそのまま二段式
ナビレベル、および『
フィーガスさんにも、ロティの
「まあ、丸め方にコツはいるけれど。可愛らしいパンね? 以前、婿殿がいただいてきたのにあったわ。たしか……とうもろこしが混じっていたかしら?」
「それも出来ますよ? とうもろこしは湯がいて、冷めてから粒を外すのですが。さらに水気が出るので少しザルで水気をとった方がいいです」
「そう。たしかに、チャロナさんの言う理屈がわかれば、これまでのパン作りの間違いがわかりやすいわ」
「私も、前世の記憶が戻るまでは。全然作れなかったんですが」
「けれど。この屋敷に来て短期間とは言え、ここまで極めたのは素晴らしいわ。いっぱい教えてくださいな?」
「はい!」
次にコッペパン。
麺棒をうまく使って、軽く長細い形に伸ばして。横に向けたら上下を内側に折り畳み、さらに閉じたら閉じ目をギュッギュとつけていく。
仕上げに、ころんと転がして軽く伸ばしたら完成だ。
「これの閉じ目を下にして、また発酵させてから焼くと。この大きさから三倍くらいになります」
「まあ、大きいのね?」
「横に切れ目を入れて、サンドイッチ風にすることが可能です。今日はそれを一部作ります」
「けど、その。正直言うけれど、貴族向きではないのね?」
「そうですね。庶民向けではあります」
お貴族様達は、おそらくひと口サイズのサンドイッチとかがメインだから。
カイルキア様が何も文句も言われずに召し上がられるのは、きっと冒険者を経験されたからだ。今日のも喜んでいただけると嬉しいけど。
「さて、おやつまで時間も限られています。今日は私の
「そのように、高度な魔法を?」
「この
ロティの
「重ね掛け、
『最大短縮ぅううううううう!!』
一瞬だけ、ロティが光りだし。
その光がと一緒に、タイマー達も消えてから蓋を開ければ。
あらら不思議? 発酵完了の生地達が鉄板に載っているのだった。
「こんな感じです」
「…………すごい、としか言えないわ」
ちょっとエリザベート様は顔を青くさせてしまってたが、ふるふると首を振ってから苦笑いにまで戻られた。
「チャロナ! もう焼けるのかい?」
「はい、シュライゼン様。とき卵……ドリュールを作って塗りましょう」
「おー!」
シュライゼン様は前にも見ているからそこまで驚かれてはいなかったが。エリザベート様の驚きを吹き飛ばす勢いで明るく対応なされていらっしゃるのかも。
とりあえず、ドリュールを作って塗ってからロティが
出来上がったら、丸パンの方を召し上がっていただくことになった。
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