114-3.フランスパンの美味しさ(レイバルス視点)
*・*・*(レイバルス視点)
なんでやんすか。
なんなんでやんすか!
いつもの、ふわふわもっちりとしたパンと違い過ぎる! それに、俺っちもだけど、エイマーの姐さんらも驚きを隠せなかったのだ!
「表面はカリカリしているとは!」
「なのに、中はしっとりふわふわ……塩気は感じるが、砂糖を入れていないのに甘く感じる!」
『美味い……美味いでやんすぅううう!!』
ちぎると、少し抵抗を感じるのに。歯を当てた部分からパリパリと崩れていく食感が楽しい!
少量なのに、食べ応えがあって凄い!
あと、まだ焼きたてやから、中がしっとりふわふわなのが超絶美味い!
「焼き立てならではの、特権ですね? ただ、すぐに冷めやすいですけど。食べる分だけ、窯で少し温めると同じような食感にはなります」
「ふむ。……冷めると、塩気が増すのかな?」
「正解です、シェトラスさん! けど、そんなにも塩っぱくはないですね? 有塩のバターよりは優しい味わいです」
「「なるほど」」
王女様は、生き生きとしているでやんす。
カイルの旦那とは、結局
俺っちは、
(どうして両想いなのに、王女様は全然気づかないでやんすか!?)
最高神様に気持ちを一部いじられているとは言え……鈍い、鈍チン過ぎでやんす!
姐さんがマスター自身を想っていたと気付かなかった、
超絶鈍チンでやんす。……カイルの旦那も、マスターが言わなきゃ絶対気づかなかったくらいに。
けど、王女様は今、やりたいことが出来て満足してるようでやんす。
今も、魔導具から
『美味ちぃでふううううう!!』
「よかったー」
可愛い……。
可愛過ぎでやんすぅううううう!!
なんなんでやんすか、あの可愛い生き物は!?
髪は少し波打っているが、触るとふわふわしていそうで!
顔立ちも、全体の大きさこそは変わっていなくても、俺っちの人型くらいの。つまりは、人間で言う成人年齢くらいまでしっかり育っていて!
手足ももちもちからすらりと。
胸も……つるぺったんから少し膨らんでいる気がする。
エイマーの姐さんほどじゃなくとも、俺っちの好みのど真ん中でやんす! ちょっと触りたい……と思っても、恋仲ちゃうからあかんあかん!
って……カーミアの旦那のような口調になってしまった。
「もうちょっと小ぶりでもいいですが。大きめに作って切り分けてもサンドイッチにしやすいんです。重量感があって、食べ応えがあるんですよ?」
「ほう。なら、お弁当組にはちょうどいいかもしれないね?」
「ちょっと中身がはみ出しやすいのが欠点ですけど」
「はは。それは我慢してもらうしかないね?」
「けど、チャロナくん。これは美味しいよ! あれだけ柔らかい生地から、これだけ美味しいパンが出来上がるだなんて!」
「食パンもですけど、水分量が多いと柔らかくなります。あと、砂糖の有無で食感も質感も変わってきますから」
「……【枯渇の悪食】で失われた技術とは言え。チャロナちゃんがいなければ、復活出来なかっただろうね?」
「……そうですね」
ヒトの
俺っちは、その災害の後くらいに魔力溜まりの中で生まれたので、詳しくは知らない。だが……人間にとっては、辛い出来事だったのだろう。
だから、王女様も知っている通り、市民の大多数はあまり美味とは言えないレシピばかりが蔓延していた。
マスターも、転生者なのでそれを知っているが。旦那達と冒険していた頃は……本当に大変だった。満足のいかない道具でうまく作れていても、パンは……マジで不味かった。
王女様のように、レシピをきちんと理解出来ていない人間の作り方しか出来ず、マスターは前世でもパンを作っていなかったから。
「けど、アインズさんと約束したんです! 美味しいパン作りを広めるためにも、頑張ります!」
「「うん!!」」
『でっふ!』
『そうでやんすね〜?』
あと少しとは言え、王女様はお城に戻るかもしれない。
けれど、陛下が決められた、きちんとしたレシピでパン作りを広めるためにも。仮の婚約者が旦那だと知ったとしたら。
まだまだ、このお屋敷に居てくれるかもしれないでやんす。
だって、お城に行ったらロティに、簡単に会えなくなるでやんすからあああああああ!!
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