102-1.卵サラダ作り
*・*・*
あれから三日後。
三回目となった、孤児院での差し入れ会とお菓子作り教室。
今日は色々子供達には頑張ってもらうので、まず最初に孤児院の厨房に集まってもらいました!
「皆さん。今日のパンは少しだけ皆さんに協力してもらいます!」
『はーい!!』
「何するんですか?」
「卵がいっぱいあるけど……」
「緑……これ何の卵?」
「皆さーん。公爵家のカイルキア様から、コカトリスの卵の差し入れだそうです。美味しいんですって」
『こ、コカトリスの卵!?』
「「「す、すっげ!!」」」
そう。
今回は卵サラダバーガー以外にも、パンケーキにたくさん卵を使うので。
シュライゼン様から、カイルキア様の名目でコカトリスの卵をたくさん提供しようじゃないかということになり。
カイルキア様にも許可をいただいて、昨日収納棚にたっぷりの卵を入れておいたわけです。
「今からこの卵で、まずゆで卵を作ってもらいます!」
『『『ゆで卵??』』』
「簡単で美味しいパンを作るために必要です。頑張らないと、お昼ご飯が食べられないよ〜?」
『『『頑張ります!!』』』
「良い返事です。まずは、手を洗ってきてくださいね?」
『『『は〜〜い!!』』』
わいわいきゃあきゃあと声が騒がしいのは嫌いじゃない。
前世のパン作り教室のような賑やかさに似てて、むしろほっこりする。
子供達が手を洗っている間に、私はシュライゼン様と昨日までに作った卵サラダのレシピ……手書きで作ったポスターサイズのレシピを壁に設置した。
「へー、でっけー」
戻ってきた子供達の中で、一番早くポスターの前に立ったのは、たしかクラット君って男の子だったはず。
興味津々で、ポスターを上から下まで見ていた。
「今からこれを作るんだよ?」
「これ、パンに挟むんですか?」
「うん。美味しいよー?」
「頑張る!」
「僕も!」
「「私も!!」」
「はーい。では、まずゆで卵の作り方を説明します」
『卵サラダの作り方』
①卵の底に、スプーンで軽くヒビを入れる
②鍋にゆっくり入れて、水をかぶる程度まで入れ。火にかける
③ふっとうしたら、中火に落として。15分程ゆでる
④ゆで上がったら、蛇口のある場所まで移動させて、流水でよく冷やす
⑤カラにヒビを入れてから、カラをむく
⑥小さな包丁で、適当な大きさに、大胆に切ってからボウルに入れて。たっぷりのマヨネーズと塩コショウで味付けたら出来上がり
「では、皆さん。配った卵の底に、スプーンでこんな風にヒビを入れてください」
一回だけ、スプーンの底を卵の底に打ち付けるようにして。
見た目、ほとんどヒビが入ってないように見えるけど、やり過ぎると茹でてる間に白身などが出てきてしまうから、やり過ぎは注意。
そこも皆さんに伝えてから、室内はカン、カンとしばらく音が響いたのだった。
「全部出来たら、鍋にゆっくり入れて水をかぶる程度まで入れてくださいね?」
『はーい』
ここまでは順調。
次の作業は身体が大きい子供や、私達大人の出番なので鍋を持ち上げてコンロに運び。
魔石コンロの点火は、今回も班の中で身体の大きい子供達にやってもらい。
待ってる間に、次の作業を準備したら水が沸騰したので火を少し弱めてから砂時計をコンロの上に置いて。
「この砂が落ち切ったら、大丈夫です」
『はーい』
「では、時間もありますので。パンに切り込みを入れてもらうのと一緒に挟む葉っぱを洗ってもらいます」
『はーい!』
小さい子にはリーフレタスを洗ってもらい。
大きい子には、波刃包丁で慎重に用意したバーガーに切り込みを入れてもらった。
怪我をしやすい包丁に変わりないので、クラット君やケーミィちゃんはゆっくりゆっくりと包丁を入れていた。
ちなみにマヨネーズの方は、職員さん達に事前に伝えておいたので、大量に作ってもらってます。
あとで子供達がスフレパンケーキ作りでかなり疲れるだろうから、ここは大人にお任せと言うことで。
「はい。ゆで上がったら、ここは職員さん達にシンクに移動してもらいます。お湯は熱いので」
『はーい』
「俺も手伝うんだぞー!」
『ありがとうございます!』
それぞれの班の鍋を、シンクに入れたら流水で芯まで冷やして。
持てるくらいになったら、シンクの角などで細かくヒビを入れて。
すると、しゅるんって感じにめくれて殻が剥けるくらいになった。
「すっげ、綺麗!」
「皆のも多分出来るよー?」
『わーい!!』
それから、またわいわいきゃあきゃあと声を上げながら子供達は殻むきに夢中になって。
途中身割れしたのとかはあったりもしたが、今日は切って卵サラダにするから大丈夫だとアドバイスしてあげて。
包丁も、ここはやっぱり身体の大きい子達に担当してもらう。
包丁はちなみにペティナイフくらいの子供用サイズで。
「指切らない? 大丈夫?」
「ゆっくりやれば大丈夫です。無理なら、私やマザー達に頼ってください」
「「「は、はーい」」」
やっぱり、好奇心旺盛でも子供は子供。
前回のチョコレートよりも柔らかくて、壊れやすい食材に対しては緊張感が増してしまうのだろう。
私がお手本を見せてても、自分達でやるもとじゃ全然違う。
これも、初心者には良い経験だろう。
「で、出来た!」
「俺も!」
「僕も!」
「はい。お菓子教室もありますから、少し急ぎましょうね〜?」
『『『はーい!』』』
刻んだ卵をボウルに入れて、用意してくださったマヨネーズをたっぷり入れて滑らかになるまで混ぜて塩胡椒して。
出来上がった卵サラダを味見したがっていたが、子供達にはもう少し我慢してもらおう。
何故なら。
「つい先ほど。切り込みを入れてもらったこのパンに、好きなだけ挟んでください」
『『『好きなだけ!?』』』
「はい。けど、こぼれやすいので注意してくださいね?」
『『『わーい!!』』』
そうして、食べる場所を食堂に移動して。
一緒に出した牛乳パンも、皆美味しく食べてくれました。
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