97-6.オムライス実食②






 *・*・*








 サリーちゃんのお父さん、ギフラさんにも喜んでいただけたようで。


 少し遠目に見たが、和やかな一家団欒になっていた。



(メイミーさんもとっても嬉しそう)



 普段は一緒になれない家族との語らいが出来て、とっても嬉しそうだ。


 そのお手伝いが出来て私も嬉しい。


 そして、私も自分が食べる前にカイルキア様達のところに運ばなくっちゃ!



「お待たせしました。こちらがオムライスです!」


「待ってたんだぞ!」


「シュライゼン、うるさい」


「ぶーぶー」



 他にも、シュライゼン様や悠花ゆうかさん達もご一緒に席に着かれていらっしゃったので、急いでワゴンを押した。


 そして、出来たたんぽぽオムライスのセットをそれぞれの席に置いてまだ知らないカイルキア様とレクター先生に説明することに。



「上に乗せてあるオムレツに、真ん中から横に切り込みを入れます」



 レクター先生の前で実演すると、オムレツは切り込みを入れた部分からきれいにライスの上へ広がっていった。



「なるほど!」


「こう……か?」



 カイルキア様はご自分のをナイフで綺麗に切り込みを入れたら、ヴェールのように卵が広がっていった。



「では、ごゆっくり」


「お姉様〜、わたくし達にもお願い出来ますか?」


「はーい」



 アイリーン様にも呼ばれたので、一礼してからそちらの分も作り。


 私とロティはと言うと、エピアちゃんとサイラ君が来てから一緒に食べることになった。



「お待たせ! 食べ方は席に着いてからでいい?」


「うん」


「お、美味そう!」



 少し奥の席に四人で座ってから説明することにした。



「この上のオムレツにこうやって切り込みを入れると」


「わ!」


「卵が広がってく!」



 初めて見る人には、やっぱり驚いてしまうかと小さく笑い、ロティの分も広げてあげると紫の瞳がキラキラと輝いていた。



「あ、エピアちゃんのはチーズ入れたから」


「ありがとう!」


「おっ前、チーズに目がないもんな?」


「う」



 彼氏君であるサイラ君はやっぱり、彼女ちゃんの好みは把握済みか。


 私は、以前のチーズポテパンで知っただけだったから、今回も入れてみたのだ。


 場所はオムレツの内側……じゃなくて、その下。


 溶けやすいチーズだったから、オムレツに入れるよりはと思ったので。



「「「いっただきまーす」」」


『いちゃだきまふぅうう!』



 そして、それぞれお好みでケチャップをかけてからいただきますをした。



「「んん!」」


『美味ちーでふ、ご主人様ぁ!』


「卵がふわふわ」


「米は何回か食ったけど、ケチャップにも合うんだ! 卵と食うとちょうどいい、うま!」


「ありがとう」



 喜んでもらえて何よりだ。


 私もさっそく食べてみると、予想以上にふわふわのトロトロでケチャップライスととてもよく合っていた!










【PTを付与します。



『ふわふわトロトロたんぽぽオムライス』



 ・製造40人前=25000PT

 ・食事1人前=1000PT



 →合計26000PT獲得



 レシピ集にデータ化されました!





 次のレベルまで、あと219400PT




 】





 コカトリスの卵の濃厚さのおかげでもあるが、お肉もジューシーで柔らかくて噛み応えがあって。


 よく炒めてケチャップと絡んだピーマンの苦味ともよく合う。


 すると、サイラ君の方から声が上がった。



「え、これ。ピーマン入ってたのか!」


「あ、ピーマンダメだった?」


「あ、うん。嫌いだったけど……これは美味しい」


「ケチャップの味が濃いから、大丈夫だと思う。チーズ入り、美味しいよ」


「ありがとう」



 私の好みで入れてしまったが、嫌いな人も多いピーマンを入れるのはよくなかったかな?


 けど、サイラ君は美味しいと言ってくれたし、これを機に克服の方向に行ってくれればいいけど。



「けど、美味しい。すっごく美味しい。チーズも伸びるし、米とこんなにも合うだなんて」



 そして、ピーマンが嫌いじゃなく、チーズが大好きなエピアちゃんは食べるのに夢中だった。


 あっという間にひと皿食べ切ってしまい、お代わりを要求してきたので、私も少し急いでから席を立った。



「お、俺もチーズ入り食ってみたい!」


「ピーマンぬこうか?」


「いや、いいよ。美味いし」


「わかったよ」



 私には、この世界で転生してからも特にはないけど。


 前世の記憶を思い出してからひとつはあった。


 けどあれは、この世界ではきっとない。


 だから、口にすることもないと思っている。



「チーズ入りのオムライス、四つ追加がありましたので作りますね?」


『でふううううう』


「わかったよ、エピア達かい?」


「はい。サイラ君がピーマンを嫌いなのを知らなくて入れちゃってたんですが。美味しいと言ってくれました」


「そうか。それはよかった。あれはいっとうピーマンがダメだったんだよ」


「でしたら、肉詰めと言う料理も出来ますね?」


「それは興味深い!」



 悠花さんとエイマーさんがいるから、キノコの肉詰めはアウトだけど。これでピーマンを食べれるようになったサイラ君なら大丈夫だろう。


 明日は作れないが、もう少ししてから作ろうと思う。


 ロティの分も合わせて四人分作り終えて持っていこうとしたら、シュライゼン様とカイルキア様がカウンター前で息を切らしていた。



「チャロナ〜、お兄ちゃんはお代わりが欲しいんだぞ!」


「俺も頼む!」


「わ……かりました。そんなに急がなくても」


「すぐに食べたいんだぞ! お兄ちゃんチーズ入りがいい!」


「それを美味かったとうるさいからな。俺のも頼む!」


「は……い」



 鋭い、スミレ色の瞳が、無表情などかけ離れてギラギラと輝いていた。


 悠花さんの言う通り、たんぽぽオムライスにして正解だったかも。


 なので、私の分を差し出そうとしたが、おふたりは待ってるとおっしゃったので急いで作った。



「チーズはオムレツとご飯の間に挟んでいますので」


「ありがとうなんだぞ!」


「急にすまなかった」



 そして、急いで席に戻られて食べ始めるのだった。



「ははは。あれではおふたりのお小さい頃そのままだな?」


「お小さい頃、ですか?」


「ああ。先先代の公爵夫人……旦那様のお祖母様がお料理上手なのは聞いているだろう? あの方にお代わりをせがみに行かれてた時とそっくりだ」


「カイル様のお祖母様……」



 たしか、近いうちに会わせるとデュファン様がおっしゃってたような。


 そんなにも美味しい料理と張り合うわけではないが、どんなものか気になっていた。


 気になりながら、急いでワゴンを押して席に戻ると、エピアちゃんとサイラ君がテーブルの上で溶けてた。



「まーってたー」


「お代わり……」


「ご、ごめん。旦那様達のお代わり頼まれてたから!」


「あ、そっか。そりゃダメだ」


「なら、大丈夫」


「ありがとう」


『でふううううう』



 だけど、気にはなってもいつお会いできるか分からないから。


 それまで、ここでの生活を満喫しようじゃないか。

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