92-4.旦那様がお料理を?






 *・*・*








 皆さんにスフレパンケーキを喜んでもらえて何よりだが。


 肝心のカイルキア様からは、まだ許可などが出ていない。


 少し、考え込まれているようだ。


 さっきから、アインズさんの手元から戻ったレシピをじーっと見ているし。



「……チャロナ。レシピの説明には簡素的に書いてあるが。本当に子供達でも可能か?」


「はい。メレンゲだけは重労働ですが、他はそこまで難しくありません」


「そうか」



 たしかに、焼き加減云々はあるけども。


 この間のココア蒸しパンの工程を見てた限り、きっと大丈夫だ。


 平均年齢が十歳前後と、聞き分けの良い年齢層だったからかもしれないが。



「チーちゃんを信じろ、カイル。ここまでの出来は期待出来なくても、ガキ向けの料理教室だ。なんなら、お前が一度挑戦してみたらどうだ?」


「……俺がか?」



 カイルキア様が料理を?


 勝手なイメージかもしれないが、ものすごく似合う。


 料理する姿がすっごく似合いそう!


 むしろ、私にはご馳走様ですの何ものでもない!


 カイルキア様と一緒にクッキング……夢のようだわ〜!



「うむ。納得がいかないのなら一から学ぶことも大切だ。愚息も、執務や鍛錬以外のことをたまにはしたほうがいいんじゃないかな?」


「……父上」


「僕達はこれくらいにして、そろそろお暇するよ。チャロナちゃん、美味しいおやつをご馳走さま」


「あ、いえ!」


「なに、もう帰るのか!」


「アインズは特に仕事あるでしょう?」


「く……」



 というわけで、大旦那様方はご退室されたが。


 カイルキア様とせっかくだからとレクター先生も一緒にパンケーキを再び作ることになりました。


 お召し物は、汚れてもいいシャツとズボンに着替えて。けど、それでも庶民にとっては高級品なんだろうが。



「チャロナ。いつもシェトラス達に教える要領で俺達にも指導してくれ」


「わ、わかりました!」


『でっふぅ!』


「うん。ビシバシ教えてね?」



 しかし、しかし。


 カイルキア様のラフなスタイルが相変わらず眩しくて凄い!


 レクター先生もだけど、素敵胸筋にシンプルなエプロンをつけてるのだけで、鼓動が高くなってしまう。


 こんな素敵な方に、ビシバシ料理指導をしてもいいんですか!


 いいって言われたけども!



「で、では。ロティを使わない方法は、先程召し上がっていただいたのも同じなので。まずは卵を割って白身と黄身に分けます」



 そして、カイルキア様の料理技術を初めて見ることになったけど。


 やはり、元冒険者だったからか、悠花ゆうかさんを多少は手伝っていたのか、飲み込みは早かった。

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