91-2.実食と、おやつ決定(マックス《悠花》視点)








 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)









 待ちに待った、照り焼きチキンバーガー!


 それが今目の前にあるだなんて奇跡よ!


 そして、文句の言いようがないくらい、うんまい!



(みずみずしい野菜との甘さと辛味。そこにまろやかなマヨと肉厚な照り焼きチキンが合わさって……ふんわふわなのに香ばしいバンズとの組み合わせって……もう、もう!)



 神、降臨!


 と思うしかないわ!


 前世のOL時代、もちろんジャンキーなファストフード店に世話になったことも当然あるけれど!


 この照り焼きバーガーは、そんじょそこらのバーガーとは違う!


 期間限定商品とかで、バンズに工夫をしてたのも確かにあったが。


 それに負けず……いや、それ以上にうんまい!


 だって、バンズもだけど全部が全部手作りなんだもの!



「うんめ〜……◯ックとか以上にうんめ〜!」


「うん。昨日も食べたけど、この照り焼きチキンってパンにも合うんだね?」


「……美味い」



 んで、あたしもだけどカイルも含める男連中はあっという間に一個をぺろっと食べ終えてしまった。



「あ、ありがとうございます」


「今日のパンはいつも以上に香ばしいな? 何か工夫をしたのか?」


「はい。少し全粒粉を入れてみたんです。栄養価も高いですし、今日のような味わいになります」


「なるほど。全部ではなく少量混ぜ込むだけでこうなるのか。悪くない」



 隣同士で会話してるカイルとチーちゃん、本当に絵になるんだけど。


 相思相愛にも関わらず、色々言えない事情とかチーちゃんの気持ちの問題とかで全然進展しないのよね?


 あたし達が組んでたパーティーの中で、あとくっついていないのはカイルだけにしても。


 見てて歯がゆいわ、この気持ち!



「あと。このパンを孤児院での定例会で使おうと思います」


「いい提案だ。この味なら子供達も満足するだろう」


「今度は何にするんだい?」


「はい。牛乳パン以外に、このパンを使って卵サラダのサンドイッチにしようかと」


「へー?」


「お菓子教室の内容は、まだ決めてはいないんですが」



 そう言えばそうだったわね?


 前回の蒸しパンに引き続き、新しいお菓子のメニュー決め。


 今回に関しては、チーちゃん少し悩んでいるようだったし。



「蒸し物続きだったし、そろそろ火を使うだけのものでもいいんじゃねーか?」


「そうだけど。ホットケーキとかパンケーキもいいかな?」


「いいんじゃね? 飾り付けし放題で色々やっちまえば」



 アートパンケーキもあるけど、絞り出しの袋とか容器がないからパスだろうし。



「「ホットケーキ?」」


「フライパンだけで作れるケーキの一種です。仕上げにメープルシロップや蜂蜜、バターを乗せたり」


「……美味いのか?」


「し、試食しますか?」


「八つ時に頼む」



 はい、本日のおやつ決定!


 けど、チーちゃんのことだから、カイル好きな相手にゃ、ふわふわパンケーキを作るかもしんないわね?


 孤児院の方にも、ちょっと難易度を上げたのを作った方がいいだろうし?


 で、食事の方はあたしとカイルが三つくらい平らげてから食後のハーブティーをもらって終わり。



「チーちゃぁん、せっかくだしふわふわパンケーキにしたら?」


「……悠花ゆうかさん。それ自分が食べたいだけでしょ?」


「それもあるけど。甘党のあいつにゃ、それぐらい作る気でいたんじゃなーい?」


「……バレてる」


『でっふ!』



 読みは当たってたようね?


 それと、孤児院の子達にもそれがいいんじゃないかと提案すれば。


 チーちゃんは少し考え込む姿勢になった。



「そうだね。少し力仕事だけど、包丁はほとんど使わないからいい経験になるかも」


「おやつの方はあたしも手伝うから、色々トッピングしちゃわなーい?」


「! なら、もう暑くなってきたし、アイス作ろう?」


「アイス……ですって!」



 ほんと、このお嬢ちゃんは前世もだけど料理チート過ぎるわ!



「パンケーキとだから、普通のバニラアイスの方が無難かな?」


「はいはーい! 色合い的にいちごとかピンク系もいいわよ!」


「うーん、木苺とかいちご……ラスティさん達よりライオネルさん達の方かな?」


「ライ、ね。木苺なら庭師向きかも。一緒に聞きにいきましょう?」


「うん!」


『ロティも行くでふ!』


『お、俺っちも!』



 と言うわけで、四人で庭園にいるはずのライオネルのところへ行けば。



「……これは、おそろいでどうされました?」



 カイルより強面でまあイケメンの部類に入るライオネルは、あたしがいるからか丁寧口調で対応してくれた。



「こんにちは。少しお聞きしたいことがありまして」


「……俺に?」


「はい。ラスティさんかライオネルさんのご担当かわからなかったんですが、木苺を育てられていますか?」


「……一応、俺達の方だが」


「良かった! えと、おやつに使いたいので分けていただけませんか?」


「構わないが、ジャムにするのか?」


「いいえ、冷たいお菓子です!」


「?」


「あたし達も収穫は手伝うから分けて欲しいのよ。あんた達もきっと気にいるわよ?」


「……マックス様がそうおっしゃるのでしたら」



 とゆーわけで、ピデットも含める見習いや他の連中も巻き込んで、木苺スペースでたくさん摘み取り。


 無限∞収納棚は見せてないから、あたしの魔法鞄マジックバックに全部入れて。


 食堂で軽くチーちゃん達と休憩してから、おやつ作りをすることになったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る