75-1.アレンジ、バター焼きあんぱん






 *・*・*










 昨日は、後半の魔法訓練でくたくたにはなったけど。昨日は昨日。


 が。翌日も、またあんぱんを作ってる最中に、悠花ゆうかさんがお願いをしてきたのだ。



「連日あんぱんもいいけどぉ〜、ちょっと試してみたい事があるのよん」


「なあに?」


『でっふ?』


「あんぱんでアレンジしてみたいのがあるのよ〜」


「『「「アレンジ??」」』」


「具材を変えるんじゃなくて……ちょっとリッチな味わいにしたいの」


「「んん??」」


「まさか……さらに焼くとか?」


「そうよ、チーちゃん。揚げあんドーナツみたいなのもいいけど、バターで焼くの」


「ああ!」


「「えー……」」



 なるほど、その手があったか。


 前世じゃネットとかで話題になってたりする、食べ方のアレンジ方法。


 よく思い出したね、と聞けば。昨日のあんぱんを食べてる時に思い出したそうだ。



「マックス。さらに焼くのは、そんなにも美味しいのかい?」


「そうだぜ? 結構びっくりすると思うぞ」


「そ、そうか……」


「方法は色々ありますし……せっかくなら、一部具材にもアクセントを加えましょう!」


『どうするでやんすか?』


「クリームチーズを入れるの」


『あれを?』



 とにかく、やってみるのみ。


 クリームチーズの方は、時間短縮クイックで手早く作って、軽く氷結ブレイズ


 餡子を包む時に、柔らかいとはみ出しやすいから。軽く凍らせてお団子状にしたら、餡子玉の中に入れやすいので。悠花さんも加わって、皆さんに作っていただく。


 私は、生地を伸ばして餡子玉を乗せたら包んでく作業をひたすら頑張り。


 かつ、普通のあんぱんの方も同時進行で頑張って。


 全部焼き終えて、冷却コールドで粗熱を取ってから。


 ちなみに、クリームチーズ入りのにはケシの実を乗せずに、一見素焼きにしか見えないパンとなっている。



「さて。アレンジですけど……悠花さん、単純に揚げ焼き感覚でいいの?」


「そうねー。カロリー気になるけど、その方がいいかもしれないわ」


「じゃあ、はじめましょう!」



 と言っても、アレンジは本当に簡単。


 ただ、多めのバターで揚げ焼きっぽくするだけ。


 と言っても、量が量なので見本を私が見せてから、ロティ以外の全員で実行するつもり。


 まずは、弱火でバターを溶かして、あんぱんをフライ返しで押し付ける!



「え、せっかくのパンをつぶすのかい?」


「しっかり焼いた方がいいのと、カリカリにさせるためです。すっごく美味しくなりますよ?」


「「ほー?」」


「バターでカリッとジュワッとなるのがいいのよね〜」


「ねー?」



 それが、暴力的に美味しいのはネットで話題になってたのもあるけど、なにがきっかけだったかはわからない。


 バターに押し付けられたあんぱんの表面は、フライ返しの圧力でジュワジュワ〜と、音が聞こえてきて。


 感覚的に、4、5分経ったらひっくり返してみると。



「ん、良い色!」



 照り付けのドリュールの上に、さらに焦げ目がついているけれど。


 バターで揚げ焼きしたことで、カリッとした表面に仕上がっている。


 裏面もしっかり焼いて、少し厚いおせんべい状になったら方包丁で切り分けて。



「「『「「いただきます」」』」」


『いちゃだきまふぅ〜』




 サク、サク!





「「『「「んん〜〜〜‼︎」」』」」


『でふぅ〜、サクジュワー!』



 パンの外側は、バターで焼いたことでカリッとしつつも、中の部分に染み込んでるお陰で、ロティの言うようにジュワッと口に広がり。


 さらに、その塩気が相まって。


 パンの部分だけじゃなく、餡子とも相性抜群!


 そこに追いかけるようにクリームチーズの、爽やかでありつつも濃厚なコクもプラスされて。


 まさに、カロリーの暴力だ。








【PTを付与します。



『バター焼き小倉あんぱん』



 ・製造200個=6500PT

 ・食事1/6個=100PT




 →合計6600PT獲得!




 レシピ集にデータ化されました!



 次のレベルUPまであと410610PT


 】







「んん〜! これよこれ! あんバターもいいけど、パンをカリカリに焼いただけで。ジュワッと口にバターの味が広がるのが、なんとも言えない快感だわ!」


『うんまいでやんす〜!』


「意外だ。……ホットサンドの時とはまた違う味わい。揚げ焼き、って言う方法でこんなにも美味しくなるとは」


「そうだね。チャロナちゃんとマックス様が過ごされた異世界では、もっと色々ありそうだけど」


「あ、思い出しました! ロティ、ホットサンドメーカーでも、これ出来るよね?」


『出来まふぅ!』


「では、普通のあんぱんも含めて。バター焼きあんぱん作りに取り掛かりましょう!」


「「「『おー!』」」」



 ホットサンドメーカーの場合は、多めに鉄板にバターを塗ってあとは焼くだけ。


 これを手分けして繰り返して。


 けど、焼きたてが美味しいので。私の無限∞収納棚にしまって、あとはアイスカフェオレを準備してからお片づけ。


 フィルドさん達がいつ来られるかはわからないけど、いつでも来ていいようにゆったり夕飯の下ごしらえをしてたら。



「やっほー、言われた通り来たよ!」


「お邪魔します」



 だいたいおやつ前くらいに。


 今日もゼーレンさんの案内で、フィルドさんとユリアさんがやって来られました。



「いらっしゃいませ!」



 お二人に席に座っていただいたら、収納棚からクリームチーズの揚げ焼きと、普通のあんぱんを一個ずつ取り出して。


 セットメニューになったら、ロティと一緒に持っていく。



「わ。なんか香ばしいいい匂い!」


「あら、そのパンが?」


「はい。お待たせしました。少し薄いのがバターでさらに焼いた揚げ焼きあんぱんでして、ケシの実が乗ったのは普通のあんぱんです!」


「「おお」」



 あんぱんのお皿を置くと、お二人とも顔をキラキラと輝かせてくださった。

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