17-1.第一回パジャマパーティー①
*・*・*
無事に帰宅も出来、皆さんに出迎えていただいてからの夜。
夜は簡単に仕事を済ませて、お風呂に入った後に……私はある企画を自室で行う事にしました!
「第一回、女子会でパジャマパーティー!」
『でっふでふぅ!』
「ふむ。簡単に言うと、お泊まり会といったところかい?」
「正解です、エイマーさん!」
今日のお昼は、ある意味散々な結果になっちゃったのでせっかくの女子会がおじゃんになった。
それと、もう一つ。
帰ってきてすぐに、急展開を迎えてしまったエピアちゃんについて聞き出すためだ!
エイマーさんにも是非聞いてもらいたいし!
「こ、こここ、こんな、大きなお部屋……お邪魔してよかったのかな?」
まだ少し話し方はたどたどしいが、そこは徐々に慣れていくしかない。
今は、私とロティとエイマーさんしかいないけどね?
だから、混ざりたいと駄々をこねられたが、無理矢理退場してもらったのだ。
「全然いいよ? むしろ、こっちがお願いしたんだし」
使用人の宿泊棟に私が行っちゃってもいいかもしれないが、空き部屋がないのと私とロティは新人。
特に、ロティはもみくちゃにされるくらい、メイドの先輩方の取り合いになるかもしれないとのエイマーさんの話で、会場を自然と私の部屋にしたのだ。
このベッド、女性なら五人くらい並んで寝ても平気だからお布団持ってこなくても大丈夫だしね。
「さて早速だが、チャロナくん。議題はずばり?」
「はい! エピアちゃんにいっぱい聞きたいことあります!」
「う……うん、わかってた……けど」
ご本人からの了解も得られたのなら、サクサクと聞いていこう!
「じゃあ…………まずは、前髪切った理由!」
「私も詳しくは聞いていないんだ。是非とも教えてくれないかい?」
「あ、はい!…………実は、サイラ君……なんですけど」
おおっと、聞きたい事二つ目とやっぱり被っていたか!
「ふむ。私の勘違いでなければ……あれがとうとう君に打ち明けたってところかな?」
「え!」
「やっぱりそうなんだ! エイマーさん、いつから気づいてたんですか?」
当たってたことに嬉しく思っていると、エイマーさんは少し苦笑いされながら口を開く。
「いやなに。サイラからはかなり前から相談を受けてただけだよ。今日のことは聞いていなかったがね?」
「さ、サイラ君!」
「私はあいつとは親戚だし、エピアは仕事でよく会う女性だからか一番接点があるからな? それと同時に、サイラも共通部分が多い。仲立ちになるのは自然な事だったよ」
『ふわぁ〜』
「え〜、サイラ君エピアちゃんが好きだったんだー」
最初に紹介された時は、単に同僚としてだったし、会話も少しはしてたがお互いに普通だったけど。
どこがどう言うきっかけで、彼がエピアちゃんに恋心を抱いたのかは、もうエピアちゃんは聞いてるはずだ。
「……う、うん。一年前に、顔……実は見られてたんだけど……エイマーさんから私の村の事情聞いてて。一目惚れから考え直したからなんだって」
「そう言って一年。私も少しは助言したが、健気に見守っていたんだよ。昔のような当たって砕けろって感じではない分、『本気』だったのだろう」
「そ、そそそ、そう……でしょうか」
たしかに、サイラ君と出会って間もないけど。
決めたことはすぐに行動に移すタイプには見えたもの。
そんな彼が、一年も耐えてずっと考えて考え抜いて出した気持ちを、今日打ち明けてしまった。
きっと、大事なエピアちゃんの危機に駆けつけたくて、多分エスメラルダさんに直談判したのかも。でなきゃ、戦闘力としては劣るだろうが救援に加えられるはずがない。
そして、エピアちゃんを迎えに行った時に……二人で話したんだろうね。
「だが、あいつからは『報告』が一切なかったんだが。エピア、返事はしてないのかい?」
「う」
「え、付き合う事になったんじゃないの!?」
てっきりそう思い込んでて、髪も心機一転するために切ったんだと思ってたのに。
エピアちゃんの顔を見ると、思いっきり真っ赤になっていた。
「じ、じじじ、実は……何か言おうとしたら、気絶……しちゃって」
「ああ、それで私が着いた時にサイラの奴は青くなってたのか」
「エピアちゃんらしいと言えばらしいけど」
なんてお約束な展開。
エピアちゃんみたいに可愛くて恥ずかしがり屋さんだからこそ許される展開だ。
だけど、非常にもったいない。
せっかく、サイラ君も頑張って気持ちを打ち明けたのに、エピアちゃん本人が言えてないのも無理もないかもしれないが。
「……それと、まだ言いにくいんです。応えようにも……自分がまだまだだから」
「そうかなぁ……?」
その場の状況とか、エピアちゃんが抱えてる問題全部を私が知らないのは当然だけど。
勇気を出して、髪も切って顔も堂々と出してる事が既に凄い事だと思うのは私だけ?
「だが、一歩前進したくて髪を切ったのだろう? メイド達にも好評だったし……サイラに近い年齢の輩も何人かはいる。狙われる可能性が高いぞ?」
「エイマーさん、ちょっと怒ってます?」
「ああ、安心してくれ。エピアにではなくサイラにだ。確認もせずに再挑戦に燃える意味がわからないからな」
ずっと相談に乗っていたから、ひょっとすると焦ったく思ってるのかも。
互いに一歩前進はしたけど、このままだとエイマーさんが言うようにすれ違い以上のイベントが発生しそうだ。
可愛くて可愛くて仕方ない、仕事の出来るエピアちゃんにアピールしようと思う男の先輩達が出て来てもおかしくないから!
「あ……あと、ラスティさんを好きだと……勘違いしてました」
「ラスティさんを?」
「…………………………そう、か。言っていたつもりが、確認不足だった」
『うにゅ?』
私とロティは入りたてだから知らなくて当然だけど、いきなりラスティさんの話になってもよくわからなかった。
「つまり、サイラはラスティさんがエピアの叔父だと知らずに勘違いしてたんだ。たしかに、彼はまだ未婚だが恋人はいるんだよ」
「ふぇ!? ラスティさんがエピアちゃんの!」
「母さんの弟なの。……一回り以上離れてて」
「けど、肌黒くない?」
「たしか……修行時代?に、南の方に行ってたら日焼けし過ぎちゃったって」
「なるほど」
そりゃ、四六時中くらい側にいる男の人の影に隠れてることが多いと、勘違いしても不思議じゃない。
懐いてるなぁと私は思った程度だけど、身内の距離感なら全然問題ない。
しかし、そうか。ラスティさんは恋人がいるんだ。このお屋敷の人かな?
「でも、そこの誤解……解いた後に、私が倒れちゃったんで」
「その後慌てたあいつの前に、私が到着したってところか。不運の巡り合わせが多いな、サイラは」
「じゃ、エピアちゃん。髪切った理由は?」
それを聞くと、私が予想してた決意とは少し違うと思う。
私はてっきり、お付き合いするから自信が持てて堂々としたんだと思ってたので。
すると、エピアちゃんは何故か私を見てからほっぺを赤くした。
「ちゃ、チャロナちゃんに……あんな危険な状況でも私を友達だって言ってくれたから。いい加減、うじうじするのやめようと思って」
「わ、私?」
「うんうん。あれは勇ましかったな? まるで、旦那様を写したかのような弁舌だった」
「わわわわ! 私、覚えてないのに!」
きっかけが私にあっただなんて恥ずかしいよ!
本当に、何をあの変態貴族に言ったのか覚えてないのに!
『にゅ〜、ロティも覚えてまちぇん』
「まあ、勢いが前を向いたからかもしれないな? しかし、どちらにしても良いきっかけに変わりない。サイラもサイラで、ひとまずはすっきりした顔をしていた。これから少しずつ育んでいけばいい」
そう言ってくれたエイマーさんだったけど、少し寂しげな表情をしている。
そう言えば、この人も恋をしているんだって思い出した。
しかも、あの
ここで、ロティとエピアちゃんに目配せすると、私の言いたい事が分かったのか小さく頷いた。
「じゃ、次はエイマーさんです!」
「で、です!」
『でっふぅ』
「…………え、私かい?」
「実は、馬車の中でエピアちゃんから教えてもらいました!」
「す、すみません……聞かれたもので」
「っ!」
私達がそう言うと。
エイマーさんは、まるでエピアちゃんのように顔どころか耳まで真っ赤っかになってしまったのだ。
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