僕の言いたかったこと

前回のアップで言い忘れたことがある。

『僕の光輝く世界』の主人公の光輝は僕の分身だということだ。光輝がいじめっ子にやらされてたことは(遠足の時間に誰かに突き落とされたことは例外)、みんな僕の実体験なのである。もちろん、鉄棒の一番下の段で、水平に引っ張られた体験も。僕は横に水平に伸ばされ、死にそうな思いをした。

 彼以外のいじめ体験にしてもそうで、『BISビブリオバトル部』の伏木空とか、『神は沈黙せず』の和久優歌、「宇宙をぼくの手の上に」のショウン(谷崎祐一郎)、「審判の日」の蓮見悟とかもみんな同じだ。僕の分身なのであ


 こういうことを言うと不快に思う人がいるらしい。自分の過去を売り物にするのか。だいたい何十年も前の話だろ。今さらそんなことを持ち出してどうする。なぜ現代の話をしないのか……。

 お答えしよう。これは何十年も前の話じゃない。いじめに苦しめられている子供は今この瞬間にも何千人も実在する。それは決して過去の経験なんかじゃない。今の僕らの抱えている問題なのだ。

 僕は幸いにもその手から逃れることができた。作家として成功をおさめ、妻と可愛い娘にも恵まれた。でも、それはラッキーだったからだ。僕の運が悪ければ、とっくに死んでいたことだろう。


 だから、僕はその幸運を、自分のキャラクターに分け与えたい。『僕の光輝く世界』の光輝のように、魅力的な女の子(光輝の目にはそう見えるのだ)と知り合い、ファーストキスをするほどに。

 そう、僕はいじめに苦しむすべてのひとに輝きを与えたいのだ。



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