アラサー美穂(4)
美穂は芽以がBLにはまる気持ちが分かるような気がする。
大人になっても女は少女の部分を持ち続けている。
大人の女の自分と少女の自分との付き合い方は人それぞれで、美穂の場合はそのバランスがあまりよくない。
さらりとした目の草食な男は自分の女の性をひっぱり出すことなく、少女の気持ちのまま恋をさせてくれる。
美穂が過去に一人だけつき合った男はアダルト動画を見たあと必ずセックスをしたがった。
自分がポルノ女優になったようで、興奮するどころか惨めだった。
男とは長くは続かなかった。
「白金にあるサロンの契約の件ですけど」
片桐の声で美穂は我にかえる。
「ねえ、ごめん。その話は明日でいいかな」
今日は疲れちゃって、最後につけ加える。
嘘だった。
あと三駅分の片桐と二人だけの時間、仕事の話で使ってしまうのはもったいなかった。
何でもいい片桐のことがもっと知りたい。
好きな音楽は何?
食べ物は?
苦手なものはある?
他人にはどうでもいい内容の会話を楽しむカップルの心境が今は分かる。
好きな相手とほどくだらない話がしたいものだ。
価値のない石ころみたいな内容が宝石のように輝くのが恋なのだ。
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