第5話「ファッキ○ファイア!」


 ゴブリン族の──城? から続々と湧き出すゴブリン達。

 数えるのも恐ろしい……!


「これ以上、速度は出せん! なんとか撃退しろ!」


 畜生ぅ! 誰に言うでもなく、ビリィはののしる。

 それで事態が好転するわけではないが、精神衛生上必要なことだ。


「簡単に言うんじゃねぇ!!」

 くそッ。くそッ!


 木箱から次々に銃を取り出し構える。


 やらなければ、犯られるのだ。

 ならば殺ってやるさ!


 特に絶大な威力を誇ったのは水平二連銃身の散弾銃だ。


 ──ズドォォン! と至近距離でぶっ放すと、数匹がまとめて吹っ飛んでいく。


「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!!」


 既に通算で30匹くらいぶっ殺している気がするが一向に数が減らない。

 それどころか───。


「何匹いるんだよ!」

「知るかぁ! いいから撃てぇぇぇ!」


 あーーーくそーーーー!!


 バンババンンバンン! ズドォォン! 物凄い轟音がなり響き、硝煙が馬車中に充満する。

 それでも足りぬと、馬車中の銃をかき集めてビリィは反撃した。


 したが──────。


「ビリィ! まずいぞ…!?」

「なんだよ、こっちもいそがしい!」──ズドォォン!


 焦燥感溢れる顔で振り返るガルム。

 ゴブリンに追いかけ回される以上に危険なんてあるのか──?



「エリナの部隊に遭遇したらどうなる!?」



 その言葉に、ギョッとした様子のビリィ。


 ッ!


 そ、

 そうだ……この道はエリナの騎兵隊が撤退した道。

 同じ道を行けば遭遇するのは火を見るより明らか。


「げぇ!? ってかよぉ、そんなこと……聞かなくてもわかるだろぉ?」


 あれだけ冷酷に且つ執拗に攻撃してきたエリナだ。

 今さら「ご一緒しましょ?」と言うわけにもいくまい。


「道をれるか?」

「馬鹿ッ! 今でも精一杯だよ! これ以上速度が、」──ズドォォォン!


「クソ!」

「──落ちたら追いつかれる!」


 ズドォォン! 


「ぐぅ!!!」


 ヤバイ、……ガルムの目の前に隕石孔の縁が見えてきた。

 間違っていなければ、エリナの部隊が展開しているのはこの先だ。

 少なくとも砲兵はいるだろう──。


 もう時間も距離もない!


「どうする!?」

「知るか────……あ!」


 口を動かしながらも銃を撃ちまくるビリィは、


「いい! このまま突っ切れ!」

「はぁ? 死ぬぞ殺されるぞ撃たれるぞ、だ、大丈夫なのか!?」


 大丈夫なわけがない。


「大丈夫じゃない。大丈夫じゃないが……──ゴブリン族をこのまま、エリナにぶつけるッ!」





 !!!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る