モフモフ!ハロー!JapariTube!
アルミニウム
Part.1 まさか炎上するとは思ってもみなかったよ
やっほー!私は
YouTuberに憧れるごく普通の錬金術師。
平凡な私だけど、人気YouTuber目指して今日も動画を配信していくよー!
*
「こんばんはー!リスナーのみんな、起きてるー?
良い子はこんな遅くまで起きてたらダメだよ。
えっ?私?私はいいの!別に良い子ってほどでもないから人並みに悪いこともするよ。
夜更かしとか、つまみ食いとか、領空侵犯とか、せいぜいそのぐらいだけどね。
さて、その話は置いといて、本題に入るよ」
机の下に隠してあったアルミホイル(お徳用) と金槌を取り出した。
「はい、これを見れば何をするかなんて予測はつくよね?
そう、今回の企画は『アルミホイルを金槌で叩いて金塊にしてみた』だよ!!」
巻いてあるアルミホイルを丁寧に伸ばしきり、クシャクシャに丸めていく。
片手で握るには少々大きなそれを金槌で叩いて潰しはじめた。
生放送中の動画の画面には「ガチの錬金術やめろww」だとか「たんたかタイム」など、思い思いのコメントが流れていく。
リズミカルに叩き続けてアルミホイルの光沢が際立ってきた頃にそれをカメラの方に近付けて一言発する。
「……失敗しちゃった。てへっ♪」
手の内にあるのはナトリウムの塊。
「まあ、良くある失敗だよね」
あっという間に画面が「あるあr……ねーよ!」や「失敗(ノーベル賞確定)」などの文字で埋め尽くされる。
「えー、そういうわけで今回の動画はここまで。
金塊が見たかったって人はゴメンねー?
私も成功するまで続けたかったけど予備もないし、そろそろペットの小鳥にご飯をあげる時間だからね。
それじゃあ、またねー!」
カメラに向かって手を振ったあと、撮影を止めようとする。
今回の失敗で錬成されたナトリウム塊を机に置いた瞬間、これもまた失敗であったと気付く。
「燃えた!?そりゃそうだよね!えいっ!!
……ふぅ、咄嗟に空間ごと消し飛ばしたから何とかなったけど一歩間違えたら大惨事だからみんなは気をつけてね」
この瞬間も多くのコメントが寄せられる。
大半が「ナイス判断」「炎上案件(直球)」「詫びボーキサイトはよ」など訓練されたリスナーによるものであったが、空間ごと消し飛ばしたシーンが一部で話題となり確実に知名度を増す結果となった。
人気YouTuberへの道のりはまだまだ続く――
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