第1話 カミングアウト

1982年6月30日。午後14時すぎ。

函館中央病院で当時20歳だった母親のお腹から、帝王切開で2260gの私が生まれた。


まだ私が幼い時、よく母親に尋ねてたことがある。

「茜って生まれた時どんなだったのー?」

「白雪姫みたいに真っ白で小さくて母乳しか飲まない手がかかる子だったよ。」

この時まではまだ母親の愛情を少しだけ感じられました。

父親も母親もいて何一つ不自由のない生活。


私が小学校1年生の時に母親方のお祖母ちゃんが亡くなりました。

当時の私には人の¨死¨というものがどんなものかわからなくて、

¨お祖母ちゃんはなんでずっと寝てるんだろう…お母さんはなんでずっと泣いているんだろう…¨

って思っていました。


それからしばらくして私が小学校4年生の時に両親の離婚が決まり、夜寝る前に母親から選択肢を出されました。

『茜はお母さんとお父さんどっちと住みたい?』

『うーん。お父さん!』

私は迷わず答えました。

『なんでお父さんがいいの?』

『お母さんと違って怖くないし優しいから!』

ここで思いもよらない言葉が母親の口から出ました。

『あのお父さんはあんたの本当のお父さんじゃないんだよ?それでもいいならお父さんと住みなさい!』と…


ずっと本当の父親だと思っていた人が血のつながりのない他人。

小学生ながらに精神的にショックを受けた私は翌日から高熱を出し、しばらく寝込みました。





 

 

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