幸せの形

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、願い事はない?」

突然、ひとりの少女が僕の前に現れた。


格好だけは、どうみても魔法使い。

格好だけだと、思うが・・・


「ねえ、願い事はないの?」

「あの・・・どちらさまで?」

胡散臭いと思ったので、訊いてみた。

「私を知らないの?」

「魔法使い?」

「ええ、君たちの世界で言えば、そうなるね」

僕たちの世界ではか・・・


「証拠を見せてください」

「えっ?」

「あなたが魔法使いという証拠です」

「見てわからない?」

「格好だけなら、誰でも出来ます」

「わかりました。これを見て下さい」

「学生証?」

「はい。魔法使い学校の学生証です。」

そこには、たしかに魔法使い高校学生証と、書かれていた。

名前は、久留巳ナリーと書かれていた。


「学生ということは、見らない?」

「はい」

「で、その見習いさんがどうして僕に?」

「あのう、名前で呼んでください」

「あなたの名前ですか?どうして?」

「この世界では、魔法使いは名前で呼ばれているんでしょ?」

それは、アニメの話だ。


「で、ナリーさんが、どうして僕に」

「お願いです。願い事を言って下さい」

「だからなぜ?」

「人間の願い事を一つ叶えないと落第するんです。」

「落第ですか?」

「はい。お願いします」

「だから、どうして?」

「君が優しそうだったから」

関係ないと思うが・・・


まっ、どうせたちの悪い、冷やかしかドッキリだろう。

暇だし、騙されたやるか・・・

そこで、無理難題を言う事にした。


絶対に無理な願い。

これなら逃げ出すだろう。


僕は解放されるのだ。


「わかった。言うよ。」

「はい」

「僕と結婚してください」

どうだ、無理だろう。

逃げ出すがいい。


少しは本気だったんだがな・・・


「わかりました。私、君と結婚します」

「なぬ?」

「だから、君と結婚します」

「どうして?」

「それが君の願いでしょ?だから叶えてあげます。但し・・・」

「但し?」

「私の世界に来てもらう事になります」

「あなたの世界というと?」

「魔法の国です」

しばらくして、馬車がやってきた。


ナリーと名乗る少女に、手招きされて馬車に乗る。

そして、魔法の国につく。

そして、即効で結婚式をあげる。

そして、ナリーと生活するようになる。

そして、結婚生活が始まる。

そして、子供が生まれる。1姫2太郎だ、

そして、やがて子供は成長し、独立する。

そして、僕は年老いた、たが、ナリーは変わらない。

でも、変わらないのは見かけだけで、寿命は人間と同じくらいらしい。


そして、臨終した。

ナリーも後を追うように、来た。


なんだったんだ?

わからない。


でも、幸せだったからいいか?


仕事?平たく言うと子守みたいなものだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幸せの形 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る