短編小説

夜月

第1話

風が吹き荒れる 君の髪が桜とともになびく。

踊る 踊る 踊る 踊る

円を描くように回りながら君は踊る

風が君の笑い声を攫っていく

君ごと風が連れて行ってしまいそうだ

そんな僕の不安を見透かしたように、君は駆け寄ってくる。

そして、こういうのだ

「一緒に行こう」

まるで、僕の心を見透かしたように…

彼女は

僕のほしい言葉を言い、

僕のしてほしい行動をする。

だから、僕は彼女に抗えない。

この体も、この魂も、彼女の手の中にあるのだ

彼女に隷属しているのだ。   

だから、僕はこういう

「あぁ、僕を連れて行ってくれ、我が愛しき、主」

彼女は微笑み、僕の手を引く。


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