ミルクパズル・プログラム ~もしも記憶が消えるなら、あなたは何をしますか?~
巫夏希
<Part:No.01 Title:Brain Machine Interface>
第1話
記憶。
それは儚い物。
記憶。
それはいつ消えるか分からない物。
世界は、科学進歩が発達しても――人間がかかる病気を完全に止めることは出来ない。
原因は不明。症状は記憶が消えていくこと。やがて自分のことも忘れてしまい、呼吸することも忘れてしまったその先にあるのは、死だ。
すべてを白に埋め尽くすその病は、白いパズルからこう名前が取られている。
ミルクパズル症候群、と。
時を同じくして、ミルクパズル症候群に対抗するために、記憶のバックアップが可能になった。これは人間の電気信号を科学的に解析することが出来たためである。
(記憶をバックアップすることによって、大人は記憶が消える恐怖から逃げ出した)
いや、正確に言えば。
(記憶をバックアップすることによって、人間の記憶をサーバで管理することが出来る)
(人間の記憶を管理することで、BMIによって管理されることで、人間が管理される時代がやってくる)
(人間の記憶を電気信号で解析できる事によって、人間の記憶を偽装することが簡単にできるようになる)
大人は、恐れてしまって、子供にもBMIを埋め込むようになっている。
いつしか大人になってしまえば、定期的にBMIを経由してバックアップを取ることになる。
それは、とても嫌だった。
「記憶は消えてしまうのだから、ミルクパズル化に抗うことなんて無いんだよ」
彼女と私の出会い、そして、別れ。
これは、別れるまでの物語。
「記憶は消えてしまうんだ。だから、抗う事なんて無い。大人は管理したがってるんだよ。私たちの記憶を」
彼女はそう言って、私のベッドに横になる。
「あなたはどう思う? 信楽マキさん」
そうして。
物語は始まる。
再会は、ミルクパズルのように真っ白で。
別れは、何かのジグソーパズルを叩きつけたように、バラバラに消えてしまう。
それが、私の物語だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます