第6話 リボルト#02 新たな出会いは、そこに絆がある Part1 奇跡の再会
【アバン】
秀和「さーて、ついにやってきたぞ我が教室へ! ここにはどんな連中がいるんだ~? ワクワクしてきたぜ……ん、お前は!?」
千恵子「あら、もしかしてお知り合いですか? こんな不気味なところにお友達に出会えるのは、やはり心強いですね」
秀和「あっ、てめえは俺から金貸してまだ返してない山田じゃねーか! やっと見つけた……ボコボコしてやるからそこを動くなよ!」
千恵子「……前言撤回です」
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リボルト#02 新たな出会いは、そこに絆がある
There's a bond in a new encounter
ギギっと扉が
目に見えるのは、現代の高校とは桁違いの教室だった。赤い床には、黒い天井が映っている。高級感の溢れる色合いは、心を落ち着かせてくれる。
そして向かって右手にあるのは、大きなホワイトボードがある。水色の枠がついていて、眩しい輝きから近未来感が漂っている。しかもところどころデフォルメされたキャラクターが動いている。スクリーンセーバーみたいなものかな。
でも、一番大事なのは……
そう、左手にある、5行と5列に並んでいるの机と椅のセットだ。そこには俺のクラスメイトが座っている。一体どんなヤツがいるんだ?
ぱっと頭を回して見ると、またしても派手な赤と黒に視線を奪われてしまう。今度は制服の色か。
いや、色だけじゃない。色合いこそ同じだが、形はみんなバラバラだ。千恵子の袴と違って、ブレザーやセーラーなど見慣れたものもあれば、まったく見たことのないパーカーやドレススタイルもある。なかなかセンスがあるじゃないか、この学校は。俺も早く着てみたいな、あの制服。
そして25の椅子の中には、約半分が空席になっていて、少し寂しく見える。それにみんなの座り方もバラバラで、どこか散漫くさい。まあ、よく言えば緊張感がなく、気軽に振る舞えるってことか。
どれどれ……お喋りをしてる女子が約5人と、ゲームをしてる男子が約1名。何気にフリーダムだな。
「はい皆さん、お静かに」
千恵子はパンパンと手のひらを鳴らし、暇そうなクラスメイトたちに注意を促す。
「突然ですが、こちらは本日転学してきた狛幸秀和さんです。まだまだ新入生なので、色々馴染んでいないとは思いますが、皆さんはこれからも仲良くしてさしあげてくださいね」
片手を上げて俺を紹介している千恵子は、その顔には美しい微笑みが浮かんでいる。やはり心からは、俺の到来を喜んでいるのか。よかったよかった。
でもその眉間に寄っているしわは、とても意味深だ。聞きたいことは山ほどあるが、ここは我慢したほうがいいよな。
「あ~あ、また一人の犠牲者が出たのか。気の毒に」
一番後ろの行に座ってゲームをしてる男子は、突然何気ない一言を投げてくる。スカーフで口元が隠れているため、彼の表情が読み取れない。
それはどういう意味だ?
だが、これは俺の予想を遙かに越えた展開の序の口にすぎなかった。
「狛幸……秀和?」
「ねえ、もしかしてあの人って……」
「ああ、間違いない。あのツンツンしている赤い髪、あの時とまったく変わっていない。懐かしいな」
ゲームをしている男子の前に座っている、少し真面目そうな青髪の男子と、モデルっぽい金髪の女子がひそひそと話している。
なんであの二人が、俺のことを……? いや待て、もしかして……!
何か大切なことを思い出した俺は、思わず前に出て、会話をしてるあの二人に近付ける。
「こ、狛幸さん……?」
千恵子の呼び掛けを無視して、高ぶる気持ちに支配されている俺は前に歩き続けた。
「よう、久しぶりじゃねえか、哲也」
俺は少し意地悪そうにニヤリと笑い、目の前の青髪男子に声をかけた。
こいつは
「秀和! 覚えてくれてるのか」
「あったりめーだろう。親友を忘れるほど無情なヤツじゃないぜ」
哲也の満面の笑顔を見てると、こっちまで嬉しくなってくる。あまりの嬉しさに、俺たちは抱き合いはじめた。
「まさかここで会えるとは……奇遇だな」
「まったくだぜ。これほど嬉しいことはねーな!」
俺たちは真剣な眼差しで、お互いをじっと見つめ合う。その視線は、友情という名の橋が繋がっている。
だが、あんまりにも目立ちすぎるため、周りの人たちがこそこそ喋り始めた。
「男子二人が抱き合っているわ! 都会の男子ってそこまで大胆なの……」
「は、激しすぎる……いくらなんでも教室の中でこんなことは恥ずかしすぎるよ……!」
セーラー服の女子Aと、ボレロ風の制服を着ている女子Bがこっちに見ている。どうやら俺と哲也の
「ゴホン! あの、盛り上がっている途中で申し訳ありませんが、皆さん見ていますよ……」
俺たちの情熱の満ちた
仕方なく、俺は哲也の体を抱きついた手を放した。そして哲也の後ろに隠れていた金髪の女の子が、身を乗り出して俺に声をかけた。
「ねえねえ、私は誰か覚えてる?」
いきなりだな。でもこういう質問をするなら、きっと前に面識がある人に違いない。でもこんな派手な髪色をしている、モデルのようなかわいい女の子に会ったことがあったっけ?
俺は目を閉じて、過去の記憶を探る。色んなシーンがプロジェクターのように、次々に浮かんでくる。そして瞬く間に、俺はすぐ目を開ける。
髪ばかりに集中して、危うく気付かなかったところだったが、その顔は見覚えがある。そしてこの聞くだけで元気になれるような声も、忘れようがない。
「もちろんさ。菜摘だろう? まったく、髪型変えたから、すっかり別人に見えたぜ」
「せーいかい! まあ、これだけ付き合いが長いもんね」
俺が菜摘と呼んだ子は、愛おしい笑顔を見せながら、明るい声で喋った。ウェーブのかかった長い金髪は、千恵子のに負けないぐらいの輝きを放つ。
この子は
それにしても、まさかここまで変化があったとは……確かに中学を卒業した時は、彼女はモデルになると言ったけど、いくらなんでも早すぎだろう。どうやらその決意は本物のようだな。でもまあ、せっかくこんないいスタイルをしてるから、モデルをやらなきゃもったいないよな。
「いやー、でもまさか君たちに出会えるとは驚いたな。もしかして君たちも親に転学させられたのか?」
再会の感動に浸っている中、俺は自分に置かれている立場に再び意識した。そう、ここは生徒たちを親の思う通りに築き上げるところだ。だとすると、この二人も俺と同じ理由で転学させられた可能性は高い。
「まあな。父さんと母さんが『もっと臨機応変な人間になってほしい』って、うるさくてな……知ってるだろう、僕がどれだけ真面目な人なのかを」
「ああ、俺とまったく同じだな。理由がまったく逆だけど。で、菜摘は?」
「私? いや~、それがね……」
言いよどむ菜摘は、眉間にしわを寄せながら、苦笑いを浮かべている。なにやら深い事情がありそうだ。
「僕が説明しよう。どうやら菜摘の両親は、この派手な格好をしている彼女のことを気を食わないらしいんだ。いつものあの大人しい菜摘じゃなくなった、とな」
真面目な哲也には、隠し事が許せないようだ。彼は菜摘の代わりに真相を教えてくれた。しかしそれを聞いた菜摘は、急に顔が赤くなって、駄々っ子みたいに軽い連続パンチを、素早く哲也に浴びせた。
「もーう、哲也くんのバカ! 私はすごく真剣に悩んでるのにー!」
「そんなの、隠してもしょうがないだろう。顔に書いてあるし……それに、秀和なら教えてもいいと思ってさ」
「まあ、秀和くんなら大丈夫かな」
何事もなかったように、二人はまた笑顔を浮かべてこっちに見せている。少し恐縮だが、中学時代の親友だし、ここまで信頼されるとやはり嬉しいものだ。
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【雑談タイム】
(いわゆる「キャラクターオーディオコメンタリー」みたいなもので、
ここで話したことは本編とはあまり関係がありません)
秀和「いやー、まさかここで出会うとは思わなかったぜ。この確率は宝くじで1等賞が当たるより低いだろうな」
哲也「ははっ、相変わらず面白いことを言うじゃないか、秀和。まあ、僕は1等賞の方がよほど低いと思うけどな」
菜摘「そして秀和くんのペースについていっちゃうのも、哲也くんらしいよね~二人とも変わってないな~」
秀和「そうだな~君たちに出会えるのはいいけど、新しい連中に馴染めるかどうかまだ未知数だな」
哲也「まあ、みんな悪いやつじゃない……よな?」(汗)
菜摘「うん、そう……だよね」(苦笑)
秀和「なんで疑問形なんだよ」
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