投獄された聖女

那須 弓

第1話


大衆の前で召喚される聖女。聖女は聖女として担ぎ上げられることが兼ねてより決められていたが思想の違う者の策略により、独房へと聖女は繋がれ表舞台から消え去った。

誰もが忘れる今は王の毒見師の選定期間に掛かり切りであった。

聖女は牢から出て二度目の人生を再び他者に提案され決められることとなった。

聖女がこの世界に来る前から聖女の人生は他者により常に決められていた。

王が食べる物を一口頬張り、それを王に渡す。

簡単で命が掛かる仕事をこなし、王が明日生きてたら、その姿を見て、また毒見する。

そのことに不満を抱いてもやるせない現状と自身の力不足を嘆くしかない。

そこに一人の使いが現れる。

聖女はその青年が隣国より貴方の処遇を不当だと思い連れて来るよう命じられたと言う事を素直に受け止める程純真ではなくなりそれを報告した。

青年は上からの指示で聖女の心を試す者であり隣国というのも偽り。

試されたことに怒りを抱くほどもう元気では無い。

妥当な判断が自身に下される。

処遇の改善を視野に入れ聖女として再び持ち上げることも考えないわけではないという意を伝えられる。

都合の良い道具だが王族・貴族という者の前では個人という者は都合の良い人形に成り下がるのはどこの世界でも共通でありまた経験して言えることである。

頭の片隅に留め自身は深々しく礼を述べる。思ってもいないことを口から延べ感謝とやる気を伝える。

それを見て考えを変えたのか自身への仕事が増やされる。

給与は無しだが貢物は多く届けられ何れも衣類・物・装飾品から例は漏れなかった。

手紙が添えられている際がある。

自身に対し個人的に用がある際に手紙を物と一緒に送り届けられる。

貴族間のパワーゲームに巻き込まれるのは一歩車道から歩くという行為。すでに火中であることをその時は自覚が足りずにいた。

隣は車、自身は人間。いつ間引かれても可笑しくはない。

些細な事でも報告が常だがそれを相談する上は会食にあたり帰りは夜。

手紙の返事を考えるのは自身で決めよう。

思い立ち筆を滑らす。

会食から戻ってきた上に報告と自身が書いた手紙を送っても良いかと尋ねる。

許可を得、思いのほか驚いた顔をしていたのを廊下で聖女は戸惑いを覚える。何かを間違えたその時それを感覚し自惚れであるのではと。

王が新たな法整備へ向けていることはすぐに知れ渡った。

手紙の内容もそれに触れた内容であるがこの事は自身の方針や双方の意見の取り組み合いであり協力的な関係であるかは保守的な返しと応えを準備するのは頃合いを見計らうつもりである。

貴族たちの貢物が処分される。勿論、自身の意志ではなく他者の手である。

意を説いた正す気になれずそれを黙って見ていた。

その後その中に大切な物が混じっていたかもしれないと尋ね回る貴婦人に頭を抱え「上げたものを返せ」に思考に靄が罹り物はすべて質屋に流れ着いていた。



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