エヴァン・ブライアンの終末研究/旧版
本条凛子
終末世界指南書
第1録 世界、設定と用語
【舞台設定】
十九世紀にビフレフト鉱石というものが現れ、人類の文明は進化の一歩を踏み出すが、人々の欲は果てしなく、領土拡大が世界規模で行われた。多くの人々の死因は領地拡大に巻き込まれた戦死である。
人類史ではラグナロク世界大戦として刻まれ、人々の心に深い傷を作った。
当時、大英帝国では世界大戦に参戦するか否かを話し合っていた。女王ヴィクトリアは夫アルバート公を亡くしており、鬱病を患っていた。しかし、突如彼女はアルバート公の部屋から議会へ現れ、世界大戦の参戦の意思表明を命じる。
とうとう狂ったかと罵られたが、夫の死から這い上がった彼女の快進撃は止まらなかった。ビフレフト鉱石を武器に使用することに成功した大英帝国は世界大戦を勝利し、更に多くの植民地を得て国を発展へと導いた。
飛行船が空を我が物顔で飛び回り、大型の蒸気機関車が大地を縦横無尽に走りはじめた。
こうして再び表舞台に現れた女王は女帝と改め、大英帝国をヴィクトリア大帝国に転生させた。未だにヴィクトリア女帝の統治は続き、五百年も経っている。
【用語集】
○
自殺した人間がなる恐ろしい化け物。天命を阻害したことでなるとされており、穢された自身の魂を浄化するため、生者の魂を血を媒介にして吸う。しかしながらそれで魂が浄化されることはない。
死神機関は吸血鬼を見つけ次第捕縛し、本部にて魂の浄化を行うことを決めている。吸血行為を過剰に行った吸血鬼は討伐対象として鉄槌卿と呼ばれる死神によって消滅される。
○ヴィクトリア大帝国
ユーラシア大陸の西に位置する島国。元大英帝国。ラグナロク世界大戦に勝利した暁にヴィクトリア女帝が改名した。世界一発展を目指す国。現在改名してから統治五百年を迎える。
○
ヴィクトリア女帝に仕える数人からなる女帝騎士勲章を持った人物たち。そして国に奉仕する心を絶やさない。また、勲章を授与された人物は身体的能力が高くなり、女帝同様不老長寿を誇っている。
現在の騎士名簿は以下の通り。
看護の騎士フローレンス・ナイチンゲール、女帝の暗殺者ジョン・フランシス、インドの親友アブドゥル・カリーム、実子の騎士バーティ、軍医の騎士マーガレット・アン・バックリー。他にもう一人いるが、公の場に姿を現したことはない。
○
生命の誕生とともに生まれ落ちた原初の死神たち。流転の
死祖の頂点はドミナであり、最高決定権を所持している。
○死神機関
死神を統括し、派遣する機関。生命と死のバランスを保つ理念のもと、無闇に魂を我がものにしようとする天使、悪魔、ワルキューレ、魔術師とはよく対立する。
天と地を繋ぐ間に機関があり、各国にある支部と呼ばれるものから入ることができる。支部以外にもアクセスできる方法はある。機関本部は中世の城が浮いている形をしている。
○支部
世界各地に点在している。教会や墓地などが主流であったが、時代の流れを鑑みて郵便社が主に支部として機能し始めている。支部の役目は本部や他の死神たちの任務の通達や書類の手続きができる。
○終末
人類は二回の終末を生き延びている。
第一次終末は人類史初期に起こった神自身が引き起こした大洪水。第二次は人間による戦争、ラグナロク世界大戦。第三次終末の予兆ではないかと言われる事象がヴィクトリア大帝国に起きている。原因究明のため、死神機関はエヴァン・ブライアンを帝国に派遣する。
○天秤
死神の魔法の源。それぞれの天秤の形をしており、装飾は死神に関わりのあるものが飾られている。
○
死祖滅びの父が率いる吸血鬼を討伐することに特化した死神たちのこと。彼らだけは魂を完全消失させる放出機の所持が許可されている。
○ビフレフト鉱石
七色に光り輝く鉱石。自己再生と増殖が簡単にでき、様々な用途に使える。また、汚れきった環境を自然消毒する力も持つ。人ならざる死神機関でさえもその物質の正体を解明できていない。また、最高位の神たちもこの鉱石を生み出してはいないと明言している。名前の由来は北欧神話から。
主に暖かい地域などに分布して現れたため、世界で権利独占を狙った世界大戦が勃発した。
◯放出機
天秤の放つ力を上手く使うための媒体。人間たちが言う死神の鎌のような存在。大鎌を使う死神は少なく、各々が使いやすいと感じたものをカルディアに作ってもらう。エヴァンは漆黒のヴァイオリンが放出機だ。
○魔術師、魔法使い
死神にとって完全な敵であり悪の存在。不死を克服しようと死神の天秤を狙い、歴史の裏において死神を実験体とした非道な行いがされた。どういった術を使ったかは解明されていないが、死神の魂の干渉を受け付けない。
魔術協会は現在宗教に雲隠れしており、虎視眈々と死神を狙っている。
○ラグナロク世界大戦
ビフレフト鉱石を独占しようとした国々が引き起こした世界大戦。はじめは植民地紛争であったが、次第に戦力が多く投下され、死者数も跳ね上がった。国際の機関がどう動こうとも戦争の激しさは増していったが、沈黙を保っていた大英帝国が参戦を表明。参戦理由は同盟国への援助と領地に戦時介入した国に対しての報復であった。
人ならざる者たち──死神及び、神々たち──からは第二次終末と呼ばれている。
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