#20 歌舞伎町編
この店には寮がある。
寮といっても普通の単身者用マンションらしい。
入寮すると週5、6日レギュラー出勤しなければいけない。
レギュラー出勤するという事は勿論本業でやらなければいけないし、結果も求められる。
売上がない嬢には過酷である。
まさに寮住みの愛ちゃんは苦戦していた。
ある日、2人組の客なので同伴に同行して欲しいと言われたので行く事にした。
少し早めに会ってドン・キホーテで買い物をしていた。
「付き合わせてごめんなぁ」
「いいよ。どんなお客?フリーの客?」
「実は…出会い系で営業したんや」
「えぇ!?出会い系?まさか初対面なの?」
「そうなんやけど同伴する言うてくれて。電話した感じだとええ人そうやと思うねんけど」
「いやぁ斬新な営業するねー。普通の客だといいけどなぁ」
「アカンかったら逃げよう」
「そうねぇ」
愛ちゃん切羽詰まりすぎてるな。
出会い系で営業するとか初めて聞いたよ。
待ち合わせした場所で待っていると、2人組の若い男がやってきた。恐らく20代前半。
うーん、金にならなそう。
うちの店は歌舞伎町ではリーズナブルな方だと言われているけど、同伴料や指名料、女の子のドリンク代など含めるとある程度払える人でなければ難しい。
カラオケに行こうという事になった。
愛ちゃんと出会い系男が話していて、私と同行男で話していた。
話が噛み合わない。
実は私は若い客が苦手だ。
聞いてる音楽は大抵EXILEで私はよく知らないし、言葉遊びを知らないから下手な事を言うと本気にするから困る。何故キャバ嬢と付き合えると思うのだか、その自信の所以を教えて頂きたい。
適当に歌ったりしてその場をしのぎ、私は先に店へ向かった。
まぁ愛ちゃんに同伴してくれるならいいかと思って居たら、お店でちゃんと場内指名を入れてくれた。
意外と筋を通すタイプの奴らなのか。
もしくは回ってきたキャストがタイプじゃなかったとかそんな所だろう。
愛ちゃんと出会い系男は普通に仲良くなったらしく、上京したばかりなので少し心配していたけど大丈夫そうだ。
まぁその男達は二度と来なかったけれど…。
私もそろそろ本気で営業し始めないとなぁ〜と重い腰を上げた所でチャンスは訪れた。
続
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