ユカ㉒
バースデーから1か月が経った。
相変わらずの売上だった。
ユカ以外の客はいなかった。
何の変化もない1か月、俺はこれが限界なのかもとも思ってきた。
「もう、ホストやめようかな。」
また思い始めた。
ヒカリに相談してみようかな。
そんな時だった。
ショウからLINEがきた。
業務連絡的なやり取りはたまにしていたが、月末や月初以外に連絡がくるのは初めてだった。
「最近ユカちゃん出勤してないみたいらしいけど、なにか知ってる?」
ん、なんの話だ。
「え、そうなんですか?ちょっとまってください。」
俺はショウのLINEを閉じ、ユカにすぐLINEをした。
「売掛ちゃんと間に合う?」
バースデーイベントの分も10万程あったし、翌月の売掛も20万円ほど残っていた。
「厳しいかも。」
「なにかあった?」
「いや、ちょっと。」
ものすごくだるかった。
なにより、出勤してるふりして昼間くらいに家を出ていたことにイラついた。
家族から救ってあげ、家も用意したのに。
なんでそんなウソがつける。
とりあえず直接会って話すことにした。
正直会うのもめんどくさかった。
しかし、これも仕事だ。
仕方がなかった。
そんなことも言ってられなかった。
家で待っていると、ユカは申し訳なさそうに現れた。
「なにがあったの?」
遠回りで聞くと、話下手なユカと会話するのは一苦労。
無駄な会話するのがめんどくさかったので、ストレートに聞いた。
ユカは急に泣き出した。
「え、なんで?」
泣いた理由はよくわからないまま、とりあえず話を聞くことにした。
「実はね、」
知っていた。
「どした?」
ユカは話すのが下手なうえ、泣いてるため聞き取るのにすごく時間がかかった。
ユカはバースデーが終わった直後くらいから体調が悪く、ちょこちょこ休んでいたらしい。
休んでるときは出勤するフリをして、知り合いの家に行っていた。
なぜ体調が悪かったかというと、バースデー直後に出勤したある日のことが原因だった。
ユカがいつも通り出勤し、いつも通り働いていた。
そして指名が入る。
初めての客だったらしい。
その客に無理やり本番行為をされ、中に出されたとのことだった。
そして、妊娠してしまったのだ。
ユカは誰にも言えず、産婦人科で名前も知らない男の子どもをおろす手術をしていた。
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