ユカ⑥

ユカの席に戻った。


「ユカと2人きりにしてほしい。」


俺はそう伝えていた。


席に戻りその時着いていたヘルプと3人で話していたら、ヘルプが呼ばれた。


2人きりになり俺はすぐに言った。


「俺の家で一緒に住もう。そんな住みたくもない、一緒にいたくもないやつがいる実家なんか出てこい。」


ユカは笑っていた。


家具・家電は俺の家にあるもの使えばいいし最低限の荷物だけ持っておいでと言った。


詳細はまたLINEで決めようと言い、今日も最低料金で帰って行った。


次の週、俺もユカの家の近くの駅まで迎えに行くことにした。


最寄りの駅まで行ってしまうと親に俺の存在がバレるかも知れなかった。


最寄りからは少し大阪よりの駅で待ち合わせをした。


その日は営業が休みだった。


距離もあるし、時間に余裕を持っておきたいと思い、休みの日にした。


父親が仕事に出ていってちょっとしてから出たい。


ユカの要望で10時頃に集まる約束をしていた。


10時ちょい前に着き、駅のすぐ近くで待っていた。


しかし、10分経っても20分経っても、来ないどころかLINEの返信すら来なかった。


既読もつかなかった。


もう少し待とうと思い、俺は近くの喫茶店に入った。


待ち合わせの時間から1時間が経った。


未だに何も連絡がない。


イカれてる父親のことだ、なんかあったのだろう。


にしても連絡がないのはなぜか。


約束の時間から1時間30分経ち、ようやくユカから連絡が来た。


「ほんまにごめん。いま向かってる。詳しくは後で話す。」


俺はイライラをしていた。


しかし、イライラをLINEでぶつけても意味がないとわかっていた。


「了解。駅近くの○○ていう喫茶店で待ってる。」


それだけを伝えた。


その連絡から15分ほどで、ユカは来た。


ユカはミルクティーを頼んだ。


「ほんまにごめん。」


何回言われただろうか。


とりあえず話を聞く。


いつもなら出ていく時間なのに父親がなかなか出ていかず、無視して出ていこうとしたら止められ、スマホも奪われた、とのことだった。


それでとりあえず自分の部屋にいたら、1時間ほどでスマホを返してくれたらしく、家を出てきたらしい。


色々理解できないところはあった。


しかし、いちいち問い返すのもめんどくさかった。


19歳の娘にどんな父親だよと思ったが、もう関係ない。


家を出てしまえばこっちのもんだ。


内心勝ったような気がしていた。


朝から無駄なトラブルに巻き込まれたユカは疲れきっていた。


とりあえず向かうか。


そう言って俺達は喫茶店の会計を済ませ、駅に向かった。



























































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