ユカ⑦
俺の部屋に着いた。
ユカの荷物を置き、2人で座っていた。
勢いで一緒に住もうとは言った。
しかし、7畳1Kの部屋に二人はけっこう狭かった。
かといって、今すぐ引っ越すような金もない。
とりあえずは今は我慢しかない。
布団もシングルしかなかった。
しかし、ユカは喜んでいた。
父親から離れられたのがよっぽど嬉しかったんだろう。
大学は辞めさせる予定だった。
大学の話はユカも直接してこなかった。
しかし、引っ越したら辞めるしかない。
その日は狭い布団で一緒に寝た。
ユカを抱いた事はない。
俺も疲れていたため、すぐに寝た。
次の日、ユカが自分から店に来たいと言ってきた。
「了解。また来るとき連絡して。」
と言い俺は先に家を出た。
店がオープンし、出勤してきたヒカリを捕まえて状況を報告した。
「同棲始めたか了解。今日もユカちゃんの席に着くわ。」
「よろしくお願いします。」
オープンして30分ほど経ってから、ユカが来店してきた。
最初は俺が着く。
ちょっとしてから俺は席を外れ、ヘルプに回った。
その間、ヒカリに席に着いてもらっていた。
同棲も始め、いよいよユカが風俗で働くのも現実的になってきた。
ヒカリがそこら辺をうまく斡旋してくれる。
準備は万端だった。
ヒカリは30分くらい席に着き、俺を裏に呼んだ。
「風俗始めるって。ちとやりやすくするからユカちゃんの連絡先交換したわ。あと今度スカウトしてるショウを紹介するわ。」
「ありがとうございます。」
原則、ホストクラブでは指名したホスト以外との連絡先は交換できない。
しかし、こういう例外もある。
ヒカリはやっぱりうまかった。
ユカはここまでしてくれた俺に対して、恩返しをしたいという気持ちがある。
「今の私には何も出来ない」
ユカはそう思っている。
ユカにとって、実の父親より父親らしいヒカリ。
ユカはあらゆることをヒカリに相談していた。
「ホストに恩返しするなら売上で貢献するしかない。ユカちゃんがゲンキに恩返ししたいなら、お金は必要やで。本気でその気持ちがあるなら相談に乗るよ。」
もちろん今まで風俗で働いたことのないユカは悩みに悩む。
金はない。
親との縁も切った。
大学も辞める予定。
友達も近くにいない。
住んでるのは知らない土地。
そんな環境に置かれたユカ。
家まで用意してくれ、大好きで恩返しがしたい彼氏。
家族以上に家族のように接してくれる、俺の店のホスト達。
環境は完璧だった。
そんな状況がそろった未成年の女の子。
どれにしようかなど迷うような選択肢は用意されていなかった。
風俗をする。
一択だった。
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