お披露目会

自分で作ったコールが完成した。


次は練習だ。


皆で音楽に合わせて軽く合わせる。


自分が作ったコールを皆が読むのはちょっと嬉しかった。


お披露目会まではあと1ヶ月あった。


それまでは何度も繰り返して練習をした。


寮に戻ってからも何度も何度も練習した。


本業の仕事より一生懸命にやっている。


何度も繰り返した。



お披露目会当日、大阪の全店舗のホストが1つの店舗に集まった。


系列のバーの人間も含めてなのでけっこうな数だった。


シフトのホストは来てない。


休んでるホストもいたが、50人くらいはいた。


1店舗1つずつシャンパンコールを披露していく。


俺らのコールお披露目は2番目。


1組目が終わり、俺らの店が呼ばれてステージに上がった。


ちょっと緊張した。


音楽が始まった。


ただのお披露目会なので照明は使わない。


普段のシャンパンコールの店内は暗いため、明るいと緊張する。


音楽が始まり、俺は練習通りのシャンパンコールをした。


緊張してた割には普段通りに出来た。


特にミスもなかった。


全店舗のシャンパンコールの御披露目が終わり


各店舗の店長たちから一言ずつ感想をもらった。


「ゲンキの声はよく通るし、シャンパンコールをするの適任。


ある店舗の店長から褒め言葉をもらった。


嬉しかった。


結果発表。


俺がつくったシャンパンコールは優勝した。


優勝賞金をもらった。


1万円だった。


シャンパンコールは1チーム5人だった。


作ったのもシャンパンコールをやったのも俺だったため、皆の計らいで1万円は俺がもらった。


1万円を手にすると、ちょっとやる気が出た。


その日の帰り贅沢をした。


と言っても、ファミレスでハンバーグを食べただけ。


いつもは1キロ200円くらいのパスタにめんつゆで炒めただけみたいな飯ばっかだった。


節約のため、自炊につぐ自炊だった。


1人で外食するなんて久しぶりだった。


この時のハンバーグはメチャクチャうまく感じた。


元から食にたいして興味はないため、自炊生活が苦とは思わない。


しかし、同じ店で働き、同じ時間働いてるホスト。


一方ではパスタ生活、一方では毎日良い飯を食べている。


その事実を思い出した時、腹が立ってきた。


怒りが沸いてきた。


もっと頑張ろう。


俺のヤル気は怒りから来ることが多い。


高校の時の日本史の先生の言葉を思い出した。


俺が3年生の時に言われた。


「勉強をするきっかけなんてなんでもいい。カッコいいでも、親ムカつくでもいい。ヤル気が出る理由なんてなんでもいい。とりあえずやるということが大切。」


目的とか目標とかはなかった。


とりあえず目の前のことをやろう。


俺はまた再びホストとして頑張ることを決意した。









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