パネル撮影
ミユが店に来はじめて2ヶ月くらい経ったとき、カナデに言われた。
「ゲンキそろそろ新しいパネル撮影しに行かないとな~」
ホストのパネルというのは自分でスタジオを予約し、自分で衣装を用意し、撮影に行かなきゃいけない。
もちろん全て自費だ。
カナデは優しいのでわざわざ俺に言ってくれた。
本来はあまり上司から言われることもない。
雑誌の特集や、イベント毎の撮影でなければ、自発的に行かなければならない。
ホストによっては1年いかない奴もいれば、毎月まめに行ってる奴もいる。
毎月行ってるから売上あがるということはない。
しかし、売れてるホスト程、こまめにパネル撮影しにいっている。
細かいことはわからないが、これはキャバ嬢や風俗嬢にも言えることかもしれない。
そのうち行こうと思っていたが、カナデから誘いがあった。
翌週の定休日に行かないかとのことだった。
俺のいた店は月曜日が定休日。
カナデの休み貰うのは少し申し訳なかったが、ふたつ返事で「ぜひ」と答えた。
「セラーーーー、お前いつパネル撮影した?」
「んー1年間はしてないっすね。ギャハハハ」
「笑ってないでしろよばか!ゲンキと3人で月曜日行くぞ」
「いや、月曜日は休みだし‥」
「いいから予約すんぞ。いいな?」
「‥はい。」
セラは明らかにカナデの弟子の様で、逆らえないような感じだった。
かといって服従している感じでもなく、セラはカナデのことを心底尊敬していた。
俺と同じで。
カナデ、セラ、俺は同い年。
1度、入店してすぐにパネル撮影したことある。
先輩とカメラマンに言われるがまま撮影した。
パネルの出来に納得してたわけではない。
かといってどうしたらいいかもわからない。
今回はカナデに意見をもらいパネルを撮ろう。
セットサロンは別々で、髪のセットが終わり次第、スタジオの近くで合流した。
服もどうしようか悩んだが、目立てばいいと黄色いジャケットを着ていった。
金髪に黄色いジャケット。
カッコいいとかはもうどうでもよかった。
とりあえず目立ちたい。
カッコよさやスタイルなんかではまったく勝負ができない。
しかし、内面的なものや服装といった身だしなみ、清潔感は努力でなんとかなる。
仮にその努力が出来てても、客の目に止まらなかったら意味がない。
「今日はどんな感じにしますか?」
「とりあえずかっこよくで」
カメラマンがカメラと照明のセッティングをしながら俺に聞いてきた。
服装では目立ちたかったが、撮影自体は真面目に撮ろうと思っていた。
300枚ほど撮影し、そこから5枚程に厳選していく。
そして最終的に1枚に決め、その1枚を修正していく。
フォトショップはすごい。
修正しているカメラマンを見る度に思う。
撮影からどれにするか、修正までカナデにアドバイスをもらった。
カナデの意見を十分に取り入れた、1枚のパネルが出来上がった。
その後、カナデの誘いで3人で飯に行った。
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