ミユ⑤

店長が席にきた。


本人もまったく手応えがなかったらしく、めちゃくちゃ意外な顔してた。


「ありがとう~!」


そこから4人で喋ってるつもりではあったが、特に会話は弾まなかった。


俺もやりづらかった。


店長は人気があった。


そのため、ちょくちょく席を外れる。


俺はミユ以外に客はいないので、呼ばれることはまあない。


初回の客が来たら呼ばれることはあった。


2人に色々なことを話そうとするが、特に盛り上がることはなかった。


色々なヘルプが回ってきたが、特に楽しそうな様子もなかった。


その日は指名して、1時間延長した後、二人は帰った。


営業後にミユにLINEして聞いてみた。


「トクちゃん楽しんでた?楽しめてなかったら申し訳ない!」


「あの子いつもあんな感じだから気にしなくていいよ!」


いつもということは色々なホスト一緒に行ってるのか。


考えてもしかたない。


営業が終わり、キャッチをせずに寮に帰った。


寮に帰って出会い系のアプリを使い、女にメッセージを送りまくる。


あまり成果はでなかった。


その日はもう諦め、寝た。



次の日はミユとトクちゃんは来なかった。


その日、俺に客はいなかった。


営業が終わり、店長に呼ばれた。


「トクちゃんからあんま連絡返って来ないけど、ゲンキどんな感じ?」


「んーどうなんすかね」


正直俺もよくわからなかったので、曖昧に答えた。


「でもミユはいつもあんな感じって言ってましたよ!」


「そか、わかった!またなんかあったら教えてや!」


「わかりました!」


とはいうものの、直接聞いたわけではないが、ミユとトクちゃんは仲良い感じには思えなかった。


トクちゃんの話を聞く時、ミユのリアクションがあまり良くない気がした。


ホストの世界ではよくある。


2人で一緒に飲みに来てるのに、仲良くない。


付き合い的な感じなのだろう。


ホストにとっては付き合いだろうが、仲良くなかろうがなんでも良い。


ただ、仲良くないからといって、2人でまったく喋らない人達もいるからそれは辞めてほしかった。


まさに、その感じがこの前トクちゃんを連れてきた時のミユだった。


次の日、ミユがトクちゃんと来店した。


連絡も特になく来店してきた。


前もって行くとの連絡はいらないが、もらった方がありがたい。


その日、皆の期待を裏切ることが起きた。






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