心機一転

金髪にした。


心機一転のつもりで変えた。


ブリーチなんかしたことなかった。


「めっちゃええやん!」


マキオにほめられた。


嬉しかった。


韓国のアイドルっぽいと色んな人から言われた。


ちょうど服装や髪型に悩んでいた時期だった。


俺にセンスはない。


俺に似合うカッコいい髪型、俺に似合う服装、俺に似合うオシャレなアクセサリー。


一切わからなかった。


色んな韓国のアイドルを検索した。


画像でも動画でも探した。


しっくりくる人はいなかった。


誰かいないかなと悩んでいた時、ヘルプで着いたジャニーズオタクの客に言われた。


「ジャニーズWestの重岡くんに似てるなあんた」


重岡くんの写メ見たときこれだ、と思った。


ライブに行く本気のファンから言われるくらい似てる。


色々調べた。


その時の俺は、本人より髪が短かったため、とりあえず伸ばすことにした。




キャッチは相変わらず続けてた。


だが、なかなかうまくいかなかった。


サキと離れてからホストへのヤル気は上がっていたが、売上はそれに比例しなかった。


それでもキャッチはし続けた。


努力し続けてる、というより休むのが怖かった。


休んだらそのぶんまたカナデに置いて行かれる気がした。


俺の店は深夜2時には閉店していた。


3時からは2部の系列店が営業を開始する。


そこにキャッチした客を連れていくことが出来る。


なので俺は営業終わりにキャッチに出ることがよくあった。


売れてる人たちはそんなことしなくても客が来るのでやらない。


キャッチは通常、売れてないホストがやるものだ。


サキと離れて以来ずっとキャッチに出ていた。


色んな女に声をかけまくった。


恥ずかしいなんて気持ちは、とっくの昔になくなっていた。


だが、キャッチなど簡単にはうまくいかない。


見た目も良くない俺は数をこなすしかなかった。


可愛いくて若い女の子だけじゃなく、おばちゃんにも声をかけた。


そんな人ホストにいくと思えない。


そんな人にも声をかけた。


そんなある時、1人の女に声をかけた。


40歳手前くらいだろうか。


オカンの方が年齢が近い位だった。


見た目も可愛いとは言えなかった。


「いきなりすいませんお姉さん。おごるのでホスト行きません?」


「え、それならいく」


即答だった。


なぜ、その時間に1人でミナミの街を歩いてたのかはわからなかった。


見た目にもあまりお金を持ってそうでもないし、風俗で働いたとしても稼げる見た目でもない。


普通のホストなら無視するだろう。


名前はミユらしい。


俺はミユと一緒に系列店にいった。










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