第24話 鈴子からの手紙

 [次は古山鈴子さんからの手紙です。

 みどりさん、体調はいかがですか?この頃物忘れがひどいと息子から聞いていました。息子はあなたの担当医です。みどりさん、あっ、息子も私もあなたの事をレースちゃんと呼んでいました。あの日、あの屋上で出会わなければ、私は息子と無理心中していたと思います。

 新興宗教って怖いですね。思考停止して、はまったら逃れられない。催眠術にかかったように浮遊していたのかもしれない。幸せになれる人もいるけど、私達親子はお金を全部使ってしまった。馬鹿ですね。あれから私、癌が再発して死にました。息子は15才だった。私の保険金と奨学金で息子は大学を卒業して医者になれたのよ。これもレースちゃんのおかげだと感謝してます。息子はあなたのような人を救いたいと医者になりました。青山さんに相談してたの。あなたに必要な印鑑を、このホワイトエレファントから作ってもらうことにしたからね。

  幸せになって下さい  古山鈴子]

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