ユメネコ
森れお
第1話
家庭科室は、甘い匂いで満ちていた。
おろしたての靴下に泥が跳ねて朝から沈んでいたけれど、作ったばかりのクッキーを食べたら少し気分は浮上する。
そのことを皆に話したら「単純だね」って笑われて、「でも、わかる」って言い合いながら、一つ、また一つと積まれたクッキーの山は崩されていった。
「そうだ、シロの話聞いたことある?」
噂話が大好きな小春が猫を象ったクッキーを摘まんで言う。吊り上げられた猫は耳がちょっと欠けていた。
「シロ?いぬ?」
「猫。白い猫。色んな子の夢の中に同じ猫が出て来たんだって」
その猫は金色の宝石みたいに綺麗な瞳をしていて、背中に黒いハートマークの毛が生えているという。
黒いハートマーク!私は内心、声を上げた。小さい時によく遊んだミーにも同じような模様があったのだ。
好奇心旺盛な萌絵が話に食いついたけど、怖い話が嫌いな美波が「何それ」って眉を顰めたので、その話はまた今度ってことになった。
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