第17話 妹に想いを伝えると決めたんだ

「まったく、お兄ちゃんは何もないのに

ただ歩いていたなんてビックリだよ、もう。

雨に打たれて傘もないのにそんなこと

したら熱が出るってわたしに・・・・・

もとい、誰かにしつこーーーく!言って

いたのにお兄ちゃんは、もう少し自分を

大事にしてほしいです!!」


俺のベッドまで運ばせ、ゆっくりと

バランスを補助をするように降ろす。


毛布を上げて横にさせ毛布をあけると

まるで、前の俺が唯悧にさせていたことを

思い出し感慨深くなる。


横になった俺があっ、熱を出たのは

雨が原因だったなぁ・・・なんて言わなければ、小言を聞かなくてすんだかも

しれない。・・・・・本当に立場が

逆転したような状況だな今は。


「ごめん唯悧、つい雨に打たれるのが

気持ちよくて・・・こんなことに」


さすがに本当のことを言えない。

唯悧の事をどうすれば戻れるとか

仲良くなれるとかそんな、ヤバイ危険な

シスコン120パーセントの考えていたなんて

絶対に言えるわけがない。


「・・・ふーん。また誤魔化すんだね

あんなに雨が降っていて大変とか濡れたら

掃除とか増えるからイヤだななんて

言っていたのに?」


唯悧は、疎外感と傷つけたように目を

細め視線を逸らし言う。

しまった!俺は唯悧になにかに傷つけたのか

それが嘘だとしたら・・・言うしかない!


「唯悧・・・実は気持ちわるいと思われると思うんだけど・・・・・本当のことを

言うよ。」


「・・・えっ、本当の?」


俺の静かな言葉に驚きと呆気になる妹。


「ああ。衝撃的、過ぎるから心して

聞いてほしいんだ・・・・・・・・・

唯悧と、どうしたら疑い晴れるか、

仲良くなるか、一緒に笑えるか・・・

ずっと考えていたら帰るのが少し遅く

なったわけ・・・なんだよ。」


俺はどんな顔をしているのだろう。

こんな恥ずかしいとは思わなかったし、

・・・どう考えてもシスコンだと思われ

距離を置かれ蔑視されるのだろう。


「・・・わたしのために・・・・・

うぅー、嬉しすぎるよ。嬉しすぎる。」


「唯悧?声が聞き取れなかったから

もう一度、言ってくれないかな?」


頬を押さえ突然、うつむく唯悧。


「・・・お兄ちゃん。わたし・・・今日は

お兄ちゃんの面倒を見るね!」


照れ笑いを浮かべる唯悧。

あまりにも可愛いかったので、ドキとした。


(落ち着け、俺!妹は、兄に恥ずかしい

言葉をして手伝おうとしているんだ。

だから、もしかして俺のこととか

そんな間違い遺憾なく発揮するなーー!!)


そう葛藤する自分の心。


「・・・ああ、頼みにする唯悧」


「うん。お兄ちゃん任せて・・・えへへ!」


屈託のない笑みは、久しぶりに見れたような

俺はそう思った。


「お兄ちゃん!わたしが作ったおかゆ。今からフーフーして食べさせて

あげるから」


ベッドの近くに置いた椅子に座り

本当にフーフーを始める。・・・それは、

好きな人にそれをされて食べるのは

・・・ハードが高すぎる!


「フー、フー・・・さあ、口を開けて!」


「い、いや、それはさすがに俺には・・・」


「っ―――、わ、わたしが作ったまずい

料理を食べれないんだね・・・そうだよね

うん。わたしって、

お兄ちゃんみたいに上手くないから」


今にも泣きそうになるのを堪え

毅然としようと無理にするのを見た俺の

選択は一つしかない。


「わぁー、ゴメン、ゴメン!実は

冗談なんだ。あまりにも嬉しかったから

つい傷をつかせてしまった」


「そうなんだ・・・それじゃあ、

はい、あーん」


スプーンを持ち笑顔で優しく俺が口を

開くのを待つ。・・・だ、駄目だ。まさか

こんなに威力があるとは。幸せすぎる。


「・・・・・あーん」


間接キスじゃないのにどうしてこんなに

ドキドキするのか。

スプーンに口に入れる。

冷めすためとはいえ、俺には刺激が

強かった。

食器を洗い終えると戻って本など

持ってきた。


「お兄ちゃん折角だから、わたしが

好きなマンガとか読んで暇を有意義に

してねぇ」


「あ、ああ。ありがとう」


正直に言うと積み本があるから、消化した

方がせっかく唯悧が勧めるなら

読むのもいいかもしれない。

唯悧も用意した椅子に座って読書を

始める。唯悧この本は何回、読んだのだろう

かなんて気になり訊いてみると、

10回のようだ。かなり好きなんだな

このマンガが。


そんな俺が夢にもみた妹と平穏なひとときを

堪能できた。

静寂な空間。お互い読書に夢中で近くに

いると分かっているだけで、

心は安らぎ、最高の理解者・・・なんて

勘違いも起きてしまうほどに。


「お兄ちゃん・・・」


「んっ?」


「何て言ったらいいのか分からない。

分からないけど、いるだけで

嬉しくなる」


どうやら唯悧も同じイヤ、似た気持ち

なのかもしれない。

そして、夕食を準備をしようとすると

唯悧にキツく断れた。


今回はわたしが作るからなんて言われて

部屋から出ていくと俺はこの優しさに

涙を湛えそして流れる。

少し時間が経過して唯悧が俺のために

アイスも買ってきて、持ってきた。


「ありがとう。」


「えへへ、これぐらいは当然だよ。」


照れ笑いを浮かべる唯悧。


「・・・だけど、こんなに買わなくても

さすがに金欠にならないか?」


アイスの量がスゴいのだ。

バニラやチョコとかメロン味エトセトラ。

その数20。さすがに買いすぎ。


「そ、そうだけどお兄ちゃんの面倒を

看れる機会なんて滅多にないから

気合いを入れてしまって・・・」


説明しているうちに恥ずかしくなり俯く。

そんな姿をみると愛おしくなり、

そんな風に思ってくれて何度目になるか

涙が出そうになる。

その思いに感謝しようと頭を撫でる。


「・・・あわわ、お兄ちゃん!?」


「ありがとう大変に嬉しいかった。

唯悧の妹で良かったよ・・・」


「お兄ちゃん。・・・・・・うん!

わたしもお兄ちゃんがお兄ちゃんで

良かったて、想っているよ」


今日は留まっていた想いを出せている。

唯悧がいつもより素直だから。

俺が熱だから・・・それとも・・・いや

そんなことはどうでもいいか。


また、気づけば仲直りをできたんだから。

デスクチェアに座り(俺の)食事する唯悧。

お互いどうして、今日ショッピングモールに

なにをしていたかを話をして。


友達のあの体育会系の男は唯悧の友達で

島津と呼ばれる女の子と仲がよくて

絶対に近いうちに付き合うなんて

話をしていた。


正直、唯悧の恋人とか覚悟していたけど

それが杞憂でよかったと思った。

食事が終わったのか唯悧がイスから

立ち上がり俺に明るい声で言うのは


「お兄ちゃん上を脱いで。」


平穏きわまりない・・・ことを・・・・・・

あれ?いまなにを。


「唯悧わるい、耳がおかしくなったのか

もう一度いいか?」


「お兄ちゃん上を脱いで。」


「・・・えーと、気のせいだったごめん。

上を脱ぐように聞こえたのだけど?」


「ふぇ?言ったけどそれが?」


なにかおかしなこと言ったと言わんばかりの

傾くかわいい顔。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


どういうことだろう。

もちろん見たいとかそんなよこしまな事を

考えるような、俗世に溢れるような

人じゃないのは、十全に分かる。


天使と妖精を融合した奇跡の美少女である

唯悧がこんな事を言った意図がまったく

推測さえできずにいる。


「あの・・・唯悧さん。どうして

脱がなければいかないのでしょうか?」


「そんなの一つしかないじゃない

お兄ちゃん」


発する次の言葉に俺は喉をゴクンとする。


「背中を拭くためだよ」


「・・・あー、なるほど」


合点した。なるほどそう言うことか。


「フフフ、お兄ちゃんもしかして

なにか想像していた?」


「いや、普通に分からなかった。

天使で純粋な妖精が集まったような

奇跡の美少女がそんなよこしま

考えがあるわけないから、

悩んでいたんだ。・・・・・はっ!」


しまった。想ったことをけっこう

口に出ていたから、こんなことも・・・。


「そ、そうなんだ。えへへ」


なぜか、すこぶる喜びが顔に出る唯悧。

あんなに嬉しそうにするなら、

言ってよかった・・・かな?

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