第12話――かけ離れるのは、唐突にして去った頃に気づく――
「ただいま。お土産、買ってきた!」
コンビニスイーツとコーラ二人分の
購入し入れた袋を持って
玄関から居間に声を届くように高く
言うと唯悧の走ってくる音を響く。
そして、居間に繋ぐドアを開き
俺のもとに来る。
「お帰り、お兄ちゃん。」
前に来た犬の着ぐるみパジャマで
明るい笑顔で歓迎してくれる。だけど、
俺は、知っているのだ。その笑顔が
影が潜めたような、憂いっているのを。
「・・・ごめん。遅くなったなぁ。
今から作るから待っている間に
このスイーツを食べて待ってほしい。」
「わーあ、ありがとう。」
今度は憂いのない本当の笑顔で感謝される。
・・・最近、笑顔が潜めているのを
訊くべきなのかって逡巡していたが
この際だ、いい加減に訊くべきではないか。
そうしないと、関係が進捗しない。
このまま膠着しているのは・・・見ていて
なんだかもどかしいから。
「・・・唯悧、変な事を訊くけど・・・
なにかあったのか?」
「えっ・・・なにかってなにが?」
首を傾げ可愛い仕草を久しぶりに見た気がした。こんな風に懐かしむほど、会話が
なかったのかもしれない。もちろん毎日、
話はしている。しているがお互い決まった
言葉を言って喋っているような会話が
増えてしまったからかもしれない。
訊きたいことは山ほどあるけど
質問を質問を返された俺は、どう答えるべきか悩み指をあごに触れて考える。
「・・・その、俺もよく分からないんだが
何となくだけど・・・・唯悧が元気が
無いのが気になってしまって、
そのなにか遭ったんなら俺に相談して
ほしいんだ。」
伝えれた。伝えれたけど思ったような
内容ではなく拙く巡り巡らされる思考に
言葉を想いが込められたのを発した
こんなヒドイ下手な言葉になった。
だけど、唯悧は驚いてすると優しそうに
微笑む。なんだか見ているだけで癒される。
「ごめん。心配してくれたんだね
お兄ちゃんは。今は、言えないんだけど
多分、お兄ちゃんだけは絶対に
言えないことなんだこれは。」
頬を赤く視線を逸らしながら淀みなく
喋る唯悧になんだか恋をする乙女のように
見えてしまった。・・・・・こ、これは
もしかして彼氏とか告白しようか
そんな類いなのか!?
だとしたら、俺は・・・どう答えれば
いいんだ。勧めたりしたけど
本当にいたのか・・・い、いや早計だ。
うん。きっと勘違いの・・・はず。
「そ、そうなの・・・か。」
「うん。・・・でもなんとかしてみせる。
お兄ちゃんの妹として、普通の仲のいい
兄妹として!」
唯悧はそう決意をし、目標を定めた強さと
信念を感しる目をして俺にまっすぐ語る。
その熱意は伝わったけど、一体なにを
悩んでいるのか結局わからなかった。
「そうか。なら唯悧が克服?かな
越えたら俺達は仲のいい兄妹として
これからも気持ち的にはずっといよう!」
「・・・そうだね。・・・お兄ちゃん。」
儚い笑顔であの憂いった表情で答える
唯悧。どんな
一片さえ、見えないがそれでも
知ることができた。苦しんでいることが
それは、俺には解決方法がないのが。
でも、素直には引くつもりはない!
俺が憧れるラノベの主人公なら引かないし
諦めない!だから、俺はこの意思を―――
「だけど、俺は唯悧を元気にしたい!」
「お兄ちゃん?」
「無理に言わなくていい。俺は俺なりに
動いて唯悧に最高の笑顔をさせてみせる!
だからいつものように俺を頼れ!
甘えて困らせてほしい唯悧。」
一度、想いを留めていた感情を少しだけ
伝えるつもりだったんだが、反射的に
感情のままに伝えた結果とんでもない
台詞になってしまった。
これ、高野ならいや誰でもシスコンだって
確定する。俺でも自分にそう評するほど
穴があったらダイブしたいほど恥ずかしい。
「・・・お兄ちゃん嬉しいありがとう。」
祈るように手を組み合わせて上目遣いに
頬を赤らめてお礼をされ
その表情にドキマギしまい居間を歩く。
「ほ、ほら、そう何度もお礼もいいけど
夕食を作らないと・・・。」
堪えられず今すぐに顔が直視できない。
それに台詞もかなり勇気を振り絞ったので
そろそろこの甘い空間を終わらせたい。
萌え死にしそうだから。
「うん。早く作ってねぇ。」
そう明るい笑顔で促されると、なんだか
いつものやりとりに戻った気がした。
でも俺の方は唯悧に対して封印していた
恋慕の感情が強くなっているのが
感じて自己嫌悪が止まらなかった。
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