第5話 ララちゃんと教室

 教室に入ると何故かララちゃんの席があった。

 小学生用の小柄な机と椅子が用意されている。

 緋色の隣に。


 どうしてこうなったんだろうと緋色は思う。

 彼にとっては理想そのもの、夢の様な学校生活だった。


 緋色はいつも一人ぼっちで空想にふけっていた。

 でも今は違う。


 ララちゃんと一緒に授業を受ける。

 一緒にお弁当を食べる。

 ララちゃんはプリンだけど。


 もちろん、好奇心旺盛なクラスメイト達はララちゃんを囲み質問してくる。


「君、名前は?」

「何処から来たの? アメリカ?」

「どうして緋色と一緒にいるの?」


 そのクラスメイト達に、ララちゃんは中指を天へ突きあげて睨み上げる。


「てめえらウザいんだよ。失せろ、殺すゾ」


 ドスの利いた声で威嚇するララちゃん。

 クラスメイト達は怯えて距離を置いた。


「はい、あーん♡」

 

 ウインナーをつまみ緋色に食べさせるララちゃん。

 緋色は疎外感が優越感に変化していくのを覚えた。

 彼はこの状況をこの上ない幸福感として受け入れていた。

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