マジキチ奇譚
yu-ma
第1話 プロテインに魅入られた男
これは私が前の彼氏Aと同棲していた頃のお話です。その日はお互いに休日で朝から各々が好きに活動をしてました。私は日ごろから掃除をするのが好きで、今日は休みで多く時間が取れるからと念入りに床の掃除をしてました。Aは筋トレを趣味としており、居間で筋トレの最中でした。私はふと昼ごはんのことが気になって、Aの意向を聞こうと思い質問しました。
「今日なに食べる?」
「なに、つくってくれんの?ならたんぱく質が多いものがいいな」
「鶏肉とか?」
「あーいいね、鶏肉ならささみでよろしく」
「もー注文が多いんだからー」
Aはダンベルを片手にふんふんと上下に腕を動かしながら私に話しかけていました。私は昼ごはんの献立を考えるべく、冷蔵庫にある食材に目を通しました。
「あれ?鶏肉今切らしちゃってる」
「じゃあ、この後一緒に買いに行く?俺ももうすぐ筋トレ終わるし」
「そうしようか。じゃあ、私も早めに掃除切り上げるね」
私は手早かに掃除に取り掛かることにしました。
十数分後、ようやく掃除が終わりちょうど居間に戻ってきたときAの叫び声が聞こえました。私は驚きすぐにAの方へ眼を向けると、床に水とプロテインの粉が散乱してました。水だけが床にびちゃっと飛び散り、プロテインパウダーは少し空気中に散布していました。その時私は察しました。Aはフタを閉め忘れてプロテインシェイクをしてしまったのだと。Aの様子の異変に気付いた私はどうしたのと声をかけようとしたのですが、Aがそれを遮るように唐突に
「あはははははははははははあはははしゃあはあはっはっっ!!」
と絶叫しました。Aの初めてみる異端な様子に怖くなった私は、その場にいるのも怖くなり何も言わず雑巾を居間まで取りに行き、思わず雑巾を食べてしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます