鏡花水月8

2018年12月14日 金曜日




▽花好きの友人と下校途中にて




 ”これがカスミソウ” ”これが夕映ゆうばえ” ”これが――” 押し花を捲るように見せる君そのほんのりあかい指先だけを我は眺める ”それでねこれがアスター”




▽何かの痕跡なのは間違いない




 ごろりと空き缶一個真上の吊るされた仲間らを寝返りて見る




小話 ささやかなラジオ




 朝、むっくりと起きると予定の時間よりも少しばかり早い時がある。どんよりとした暗雲の中みたいな部屋をぼーっと見回して、何かにがっかりをする。起き上がるきっかけが欲しかった。テレビを点ける気はおきないし、スマホなんか絶対ダメだ。そんな時、普段は滅多に聴かないラジオを点けると割とすんなり布団から抜け出せる。偶に放送している、誰に向けてか知らないメッセージが流れる。これが実は楽しみだったりする。頑張れ、とかの応援じゃなくてただ一言、おはよう、とだけ流れる。その声が聞こえるとどうしてか、実家の古びた匂いと台所を思い出すのだった。

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一日の黄昏(詩のようなもの) 西見せき @dpoole

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