Tips:とある飲み会の一幕

※ここで行われた会話は、彼らの記憶に一切残っていません


「飲もう飲もう! 今日はマジータちゃんの奢りだ~よ!!」

 なにか良いことがあったらしい。今日はマジータちゃんの奢りでささやかな飲み会を開いていた。

 すでに何本もボトルを開けたマジータちゃんは、ぐでんぐでんに酔っ払っている。

 が、それは彼女に限った話ではない。この場に集まったガリア、メライア、マリエッタ、ギルエラの四人も、彼女と同じように出来上がっていた。

「メライアはもうガリアとデキたのです?」

 開口一番の色恋沙汰。マリエッタの先制攻撃に、メライアは激しく狼狽える。

「ま、待て! どうしてその話を?!」

「いや、バレバレだぞ」

 ギルエラに言われ、メライアは更に動揺した。

「え、ええ!? そうなのかガリア!?」

 急に話を振られたガリアもまた、同様に動揺していた。どうようだけに。

「え、メライアって俺のこと好きなの?」

 唯一彼女の気持ちに気付いていなかったガリアは、驚きを露わにした。所詮は女性経験のないただの青年なのだ。女子の複雑な恋模様など推し量れるはずもない。

「へ!? 、ま、まあ、うん、確かに、そうだけど……」

 激しい動揺を見せるメライア。それはガリアにとってなによりの朗報であり、もう少し真面目に話して欲しいことでもあった。

「なーんだ両思いじゃねえかよ。なんだよ。だからあんな態度だったのか」

 マジータちゃんが激しく食いつく。

「あんな態度ってどんな感じ?」

「メライアはしょっちゅう俺に聞いてくるんだ『私のこと好きじゃなかったのか』ってな」

 一同が湧いた。

「えっ!? ちょっと独占欲強くない!? 流石に引くわ!!」

「流石にそれは……お二人は付き合ってるわけではないのでしょう? だというのにそれは……」

「ないよな。ありえない」

 どうやらメライアの異常行動は周知されていなかったようだ。口々に不満の言葉を漏らす。

「ほんとに私がもってっちゃうよ?」

「マジータちゃんのことも実は結構好きなんだよな」

「えっ!? ええっ!?」

 マジータちゃんが激しく動揺した。

「いや、わ、私も、ガリアくんのこと、好きだけど……」

 おおっと知らないフラグだ。ガリアは露骨に動揺した。

「え? そうなの? じゃあ付き合っちゃう?」

「えっと、え、ふつつかものですが、その……」

「おい!! 私が好きなんじゃなかったのか!?」

「うわっ、重すぎではありませんか?」

「付き合ってすら居ないんだろ? なのにそれはないだろ……」

「で、でもガリアは私のだし……」

「そもそも私のってなによ。直属の上司だからって!」

「わたくしも立候補致しましょうか?」

「話をややこしくするな」

「待てよ俺が蚊帳の外なのおかしいだろ!?」

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